第38話 闇があるからこそ光があるのです
お友達とディズニーランドに遊びにきた13歳の女の子がいました。
その子は瞳を輝かせ、キャッキャとはしゃいでいます。
今にも背中から天使のように羽が生えてきそうなほど、幸福に見えます。
そして同じ13歳の女の子でも精神病院に入院している子もいます。
その子はおしゃべりが好きでいつも看護師に話しかけてきますが、どこか空元気でむりをしています。
病棟でも同年代の子がいませんから、話がなかなか合いません。
その子は深い孤独の中にいるのです。
その女の子は病棟内の夕飯を食べると病棟の入口にいる警備員に話しかけています。
寂しいのでしょう。
母親に会いたいのでしょう。
友達と語り合いたいのでしょう。
しかし閉鎖病棟にいるその女の子に自由はありません。
僕は昨日、その女の子がいた精神病院を退院しました。
僕が退院するときに玄関まで、その女の子はお見送りに来てくれました。
笑顔で「バイバーイ」と言われました。スマイル100%の笑顔のように見えましたが、マスクをしていたのでわかりませんでした。
でもまたどこかで会うのを予言しているかのような別れの挨拶でした。
その女の子はいつも元気で素直で笑顔で、人々を明るく元気づかせる、京都アニメーションの涼宮ハルヒのような女の子でした。
僕はある日、その女の子に「〇〇さんは涼宮ハルヒに似てるね」と言いました。
もちろん褒め言葉です。
昔のアニメだからなのか、その女の子は13歳なので涼宮ハルヒを知りませんでした。
僕はその女の子がアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』を観たらどんな反応をするのか、気になりました。
きっと良い反応をしてくれそうだなと思いました。
話が脱線してしまいましたが、僕は精神病院に入院してこの世の、光と闇を見ました。
表があれば、裏がある。
光があれば、闇がある。
この世も、人間も、光の部分があれば、闇の部分もあります。
ディズニーランドで楽しそうにしている人を妬んだり、嫉妬したり、うらやんだりしているわけでないのです。
憧れているわけでもありません。
ただこの世の中の光っている部分は、闇があるからこそ、光っていられるのです。
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