川端康成 「伊豆の踊子」 感想

Athhissya

書き出し

『道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。』


冒頭の一文でございます。

[眠れる美女]は文章がくどくて

少し嫌な感じでしたが

こちらはページをめくってすぐ

ぽはぁ・・・とため息が出ました。


から雨のを連想するって

当時の私にとっては未体験の語感でした。


さらに想像を膨らませると、

軍隊の行進の踏音と強い雨の音って

けっこう似ているような気がして、

逃げなきゃって気持ちが強まる。


そして、杉の林を白く染める雨霧。

それが見えるということは、

主人公の後ろには視界が開けてます。


その青年は急勾配な斜面を

登っている途中であることが分かります。


直接記述はせずとも解釈の過程で

ほぼ確実な視座推定を発見できる。

そこも見事なポイントです。

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