愛
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哀
俺には愛するひとがいる。大切なひと。
誰よりも彼を愛していて、誰よりも彼を知っている。彼を愛せるのは俺だけだと、少し重いとは思うけど、彼も俺を受け入れてくれた。
今その人が事故に遭った。
スピード違反の車に跳ねられたらしい。
病院の部屋に入ったとき彼は意識を取り戻していた。病気も後遺症もなく。
ただ一つ、彼は俺を見た時、
「どなたですか?」
と言った。記憶喪失らしい。
俺は君の大切な人だと告げるとしばらくして、いつも俺に見せてくれるキラキラした笑顔を見せて納得してくれた。
退院は早かった。教えたらすぐ理解してくれるし、いつもの彼に戻ったような気がした。
だが時折、寂しそうな目をするようになった。
数年後、俺らはずっと一緒だった。
だが、彼は毎日泣いている。
「こんなこと間違ってる。」
泣きながら彼は俺に訴えた。
「どうしたの?何が間違っているの?」
俺は彼の悲しい声、顔を感じるのが嫌だ。
「こんなものは歪んでいる!」
何が歪んでいるんだ。
10冊を越えた思いでのアルバムも
毎日水を代えて一緒に育てた花も
一緒に寝る大きなベットも
彼に着いた首輪も
何もゆがんでいない。
だって俺は彼を、彼は俺を
アイシテイルンダカラ!
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