僕は二次元しか愛せない ~前世でキモオタだった僕は異世界でイケメン貴族として転生するもリアルの女に興味がない変人と家から追放されるがどうでもいい! 僕はこの世界に二次元の素晴らしさを広める~
panpan
第1話 プロローグ
「グレイ……貴様は我が一族の恥だ! 早々にこの家を立ち去れ! そして二度とその顔を私に見せるな!」
「ここはあなたのような救いようのない無能がいて良い所ではないのです」
「わかりました……」
僕は会釈して、両親に背を向けて部屋を出る。
……いや、もう元両親かな。
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僕の名はグレイ。
とある貴族の長男だったんだけど……たった今、両親から縁を切られた所だ。
あっ! いきなりこんなことを言っても意味が分からないよね。
一から説明するよ。
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まず初めに言っておくけど、僕には前世の記憶がある。
とは言っても、名前や出身地と言ったプロフィールは覚えていない。
まあ覚えていないということはそんなに大切な記憶じゃないんだろうな。
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前世の僕はアニメや漫画が大好きな……いわゆるオタクだった。
メジャーなものはもちろん、マイナーな作品も大好きだ。
そんな僕が何よりも心を奪われていたのは二次元に住む美少女達。
きっかけは中学生の頃に興味本位で視聴した深夜アニメだ。
そこでは言葉で表現できない愛らしい美少女から目を奪われるような美貌を持つ美女が様々な物語を紡いでいた。
おおよそ30分もの視聴が、僕の心に革命を起こした。
僕はそれを恋と……いや、愛と思っている。
彼女達が僕に愛するということを教えてくれたんだ。
それ以降、空いた時間があればアニメ視聴や漫画読破に全て注いだ。
お小遣いやお年玉は無論、関連のグッズに全額投資した。
どんなにつらいことや苦しいことがあっても、彼女達のひたむきな笑顔が僕の心を癒してくれる。
友達や彼女僕は幸せだった。
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とは言っても……人生が充実していた訳じゃないんだよな。
前世の僕はデブで顔も不細工な典型的な下の下な男。
かといって、勉強やスポーツができるわけでもないし……これといって特別な才能もない。
口下手でコミュニケーションが苦手な方だし、放課後や休日は誰かといるより1人で家にいる方が落ち着いた。
本当に何もない人間……それがかつての僕。
1人でいることを苦痛だとは思わなかった……いや、そもそも僕には二次元に住んでいる彼女達がいるんだから、寂しいなんて思ったこともなかったな。
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だけど……そんな僕にもつらいことや苦しいことがあった。
「おい、何描いてんだよ!」
「あっ!」
あれは……中学2年生の頃だったかな?
僕は休み時間の合間にノートに絵を描いていたんだけど、それをクラスメイトの男子に興味本位で取り上げられたんだ。
「うわっ! こいつ女の絵なんか描いてるぞ」
「えっ? ちょっと待って……これプリキュアじゃん! ほら、日曜の朝にやってる……」
「げっ! マジかよ……こいつ中学生にもなってあんな幼稚なアニメ見てんのか? キモ過ぎて引くわ!」
「みんな気をつけろ! こいつプリキュアなんか見てるロリコンだ!」
このことがきっかけとなり……僕はロリコンと不名誉なあだ名を付けられ、同級生達から非難の視線を向けられるようになった。
プリキュアは毎週視聴しているほど好きだし、好きだから描いていたんだけど……それがどうしてロリコンってことになるんだ?
そりゃまあ女児向けのアニメだけどさ……別に男が見ちゃいけないなんてルールはないだろ?
でもこいつらには、プリキュア好き=ロリコンという訳のわからない理屈が常識として根付いているらしい。
転生した今考えても……やっぱり意味が分からない。
こいつらはプリキュアに親でも殺されたのか?
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でもよく考えたら……プリキュアの件がなくても、肩身は狭かったな。
僕……というよりもオタクそのものが……。
そもそも当時はオタクという存在は忌み嫌われるむごい世界だった。
特に僕みたいなアニメオタクは後ろめたいことがなくても、周囲から軽蔑の視線を向けられる。
『おいオタク! 教室で堂々とエロ本読んでんじゃねぇよ!!』
『こっこれはエロ本じゃ……』
『何? どうした?』
『見ろよこいつ……堂々とエロ本読んでやがるんだぜ?』
『うわっ! マジかよ……さすがオタク』
一応言っておくけど……僕がこの時読んでいたのは、普通のラノベ小説。
表紙は女の子だけど……別に肌の露出なんてほとんどない健全な恰好だし……なんなら中身は王道なバトルファンタジーで、エロ要素なんて一切ない。
あと小説を持ち込んではいけないという校則もないから、ラノベを持ち込んでもOKなはずだ。
それを説明しても、こいつらは僕がオタクであるという理由だけで……内容も知らずに勝手にエロ本呼ばわりしてくる。
『学校にエロ本持ち込むんじゃねぇよ!! オタク!!』
なんて謎の正義感を振りかざして僕のラノベを取り上げた挙句、ゴミ箱にダンクシュート風に捨てやがった!
”人の本に何をしてるんだ! 弁償しろ!”
……と、今なら言える。
こんな横暴は許されてはいけないとは思うけど……現実は二次元とは違う。
颯爽と駆けつけてくれるヒーローなんて現れないし……僕を優しく慰めてくれるヒロインなんてものもいない……。
この時も僕は何も言い返せず、泣き寝入りするしかなかった。
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オタクである僕をバカにしてくるのは男子だけじゃない……女子だってそうだ。
いや……むしろ女子の方が個人的につらい。
『おいオタク! あんた今、あたしのお尻触ったでしょ!?』
『えっ? 触ってない……』
『嘘つかないでよ! すれ違いざまに触ったでしょ!?』
移動教室で廊下を歩いていた僕の腕を掴んできたのは隣のクラスの気が強い女子。
窓辺で彼氏と立ち話を楽しんでいたからそこをすれ違った瞬間、いきなりこんな言いがかりをふっかけられた。
『お前マジふざけんなよ!?』
やってもいないことで責められ……挙句に突き飛ばされた。
本当に何もしていないのに……。
『どうした?』
『あっ! 先生! こいつがあたしのお尻を触ったんです!!』
『ちっ違う……僕じゃ……』
『とにかく職員室に来なさい! 話はそこで聞く!』
訳も分からず、職員室へ強制連行された……。
色々頑張ったけど……最終的に僕の濡れ衣は晴れず、やってもいない冤罪で僕はその子に謝罪することになった。
証拠なんて何1つなかったけど……彼女の彼氏まで僕が触ったと供述したせいで、僕が痴漢したということになってしまった。
その時は一体何が起きたのかわからなかったけど……冤罪事件から数日経ったある日の放課後……事の真相が判明した。
『ちょっと~……マジでキレたあたしの時間返してくれない!?』
『別にいいじゃねぇか、ケツ触るくらい……俺達付き合ってんだからさ』
あのカップルがいる教室を通った時、2人の会話が聞こえてきた。
話をまとめると……女子生徒のお尻を触ったのはその子の隣にいた彼氏だった。
発情してしまったあまりの茶目っ気だと悪びれもなく笑っていやがる。
『マジで気持ち悪かったんだからね!? つーかあいつ普通に冤罪じゃね?』
『いいじゃねぇか……オタクなんてどうせ遅かれ早かれ犯罪に手を染めるんだしよ!』
『アハハハ!……確かに!』
女子の方も僕に濡れ衣を着せたことを気にも留めず笑う始末。
この時ばかりははらわたが煮えたぎる思いだったけど……誰1人味方のいない僕にそんな勇気はなかった。
僕1人が声を上げた所で、オタクであるというだけで誰も僕を信じてくれない。
それは高校に上がっても同じ……。
僕が生きていた世界はそういう世界だったんだ。
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一見すると、僕だけ特別にひどい扱いをされているように見えるけれど……そうじゃない。
僕のように二次元を愛している同志は他にもいた。
まあ僕は1人でいるのが好きな方だから、同じオタクでも群れることはしなかったけど……その誰もかれもが僕のように迫害されていた。
”オタクだから”
たったそれだけの理由でだ……それは別段僕の周りだけに限られたことじゃない。
誰が吹聴したのか知らないが……僕がいた世界にはこんな言葉があった。
”オタクは性犯罪者予備軍の集まり”
もちろんこんなものは嘘デタラメ……言い換えれば都市伝説と相違ない。
全く誰がこんなくだらないことを言い出したのやら……。
そもそもな話だけれど……一般的に受け入れられているのはジャンプ漫画やサンデー漫画原作のメジャーな作品だけ。
それらを好きな人間はオタクに当てはまらないらしい……もちろんどれも面白い素晴らしい作品だと僕も思うけど……。
ただ、そのほかのマイナーな作品を好きになるとオタクと見なされるらしい。
代表的なものを言えば……ラノベ原作のアニメかな?
オタクを迫害する連中からすれば、ラノベは官能小説と同類のようだ。
特にひどかったのが僕が愛する二次元美少女達への偏見だ。
”可愛らしい顔で妖艶な姿を露わにする女性のイラストで健全な少年達を性犯罪者へと堕とす忌むべき文化”……それが二次元という世界に張られた身勝手なイメージだ。
本当に誰が何を目的としてこんな訳の分からないイメージを作ったんだ?
まあとにかく……そんな撲滅すべき二次元の世界に恋焦がれるようなオタクは、性犯罪者予備軍だと世間は偏見を向けてくるんだ。
そんな無茶無茶な理論によって、涙を呑んでオタクをやめるものもいれば……ひどいいじめを受けて自殺する人までいた。
あぁ……言っておくけど、僕は自殺して死んだんじゃないよ?
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そんなこんなでひどい外の世界……。
かといって、我が家が一番とも言い難い。
その理由は当時の親にある。
「コラッ! せっかくの休日だというのに、また部屋に引きこもってアニメか!?」
休日のアニメ視聴という憩いの時間を邪魔してきたのは当時の父親。
厳格な父親だったことはうっすらと覚えているけど、それ以上はあんまり思い出せない。
「いつまでこんな幼稚なものにハマっている気だ!? 高校生にもなって……恥を知れ!!」
「好きで見ているんだからいいじゃないか!」
「よく聞け! アニメだの漫画だのは人を堕落させる腐った文化だ! こんなものにいつまでも熱中していると、将来ロクな大人にならんぞ!!」
「なんで父さんにそんなことがわかるんだよ!! アニメなんて1度も見たことないくせに!! 知った風なことをいうな!!」
「親に向かってなんだその口の利き方は!?」
「!!!」
昭和の頑固おやじの如く、僕は父さんにぶたれた。
いや……昭和なら普通に鉄拳が飛んでくるか?……知らんけど。
「とにかく! こんなくだらんものはさっさと捨てて、勉学に勤しめ!!」
そんな捨て台詞を残して父さんは僕の部屋を出ていった。
もちろん僕は、父さんの話なんて聞く耳持たなかった。
好きなものに熱中しているだけなんだから……何も恥じることはない!
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「あんたまたそんな気持ち悪いゲームをしているの?」
別の休日……今度は母さんが部屋に入ってきた。
温厚な人だけど、二次元に対しての偏見は父さんやほかの連中と変わらない。
ちなみにこの時の僕がやっていたのは人気のギャルゲーだった。
「そんないもしない女の子に夢中になる暇があるなら、クラスの女の子とお付き合いでもしたらどうなの?」
「ほっといてよ」
平静を装ってはいたけど……内心は余計なお世話とキレていた。
そもそも気持ち悪いと侮辱した時点で殴りたくなるほどの怒りに駆られていたけど……ぐっと堪えた。
「いい加減、現実を見たらどうなの? あんたがやっていることはただの現実逃避よ?
そうでなくたって、こんな訳の分からないアニメグッズにバイト代をつぎ込んだりして……少しは家計を助けようとは思わないの? この親不孝者!!」
母さんの視点から言えば、二次元にどっぷり浸かっている我が子を正気に戻そうと優しく声をかけているつもりだろうけど……正直、僕は思わず飛び掛かりそうになった。
その理屈が通用するなら、日本の半分以上の人間は引きこもりになっちゃうよ。
そもそも僕は現実を忘れるほどゲームに熱中はしていない。
きちんと学校に通って、それなりに勉学には励んでいる。
バイト代だって僕が稼いだお金なんだから、僕がどう使おうが勝手だろう?
というか……家にはお金を入れているんだけどな。
雀の涙程度だけど……。
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という具合に……学校でも家でも僕の二次元への愛を……いや、オタクを理解してくれる人はいなかったんだ。
どいつこいつもアニメのすばらしさを知らない……いや、知ろうともしない。
誰かが作ったいい加減なイメージを鵜呑みにして、健全なオタクを攻撃しているんだ。
それを良いことだと思い込んで、薄っぺらい正義感を掲げる馬鹿がどんどん増えていくんだ。
何も知らずに一方的に悪だと決めつけ、他社を攻撃することになんの罪悪感も抱かない。
こういうところを反省しないから、未だにいじめなんてものがあちこちで続いてるんだよな。
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さて……長々と話してきたけど、前世の僕がどうして死んだのかを最後に話すよ。
あれは20歳の頃だったかな?
僕は大学受験に失敗して、フリーターをしながら就職活動を続けていた。
実家暮らしを続けていたけど、僕なりに努力を重ねていたつもりだ。
「父さん母さん! 僕の部屋……あれどういうこと!?」
この日も僕は朝からバイトに行き、帰りにハローワークに寄って職を探すいつも通りの日常を送り……変わらぬ我が家へ帰ってきた。
ところがこの日……僕の世界にあってはならない変化が起きていた。
僕の部屋にあったはずのアニメグッズやDVD、ゲームなどが全て消えていたんだ。
壁に貼られていたポスターもなくなっていて……部屋に残っていたのはテレビやベッドなどの最低限の生活に必要なものだけだった。
朝バイトに行ったときは確かにあったはずの僕の楽園が……霧のように消滅していたんだ!!
僕は訳がわからなくなってリビングにいた両親に問いかけた。
「僕の部屋にあったもの……どこに行ったの!?」
「……売った」
「……は?」
「売ったんだ……全てな」
どうやら僕がバイトに行ってすぐに、僕の部屋にあるものを父さんと母さんが呼びつけていた親戚達と一緒に近くのアニメ専門店に行って売り払ったらしい。
それを悪びれもせず淡々と話す父さんの態度に僕はさすがにキレた。
「なんでそんな勝手なことをしたんだ!!」
「お前の目を覚まさせるためだ」
「は?……」
「これまで何度もお前に言ったはずだ! アニメだの漫画だのくだらない趣味はやめるようにと!!
だがお前は俺達の言いつけを聞きもせず、20歳になった今もなお……あんな低俗な趣味を続けおって!!」
「どんな趣味を持とうが僕の勝手だろう!! 費用だって全部僕が自分で稼いだお金やお年玉から出しているじゃないか!!」
「金の問題じゃない!! 口酸っぱく言ったはずだ!! アニメだの漫画だのは人間に悪影響を与える害悪だと!!」
「何度も言ったじゃないか!! アニメを見たこともないくせになんでそんなことがわかるんだって!! 僕のためとか言って、単に世間体を気にしているだけじゃないか!!」
「なんだと!!」
「あなたやめて!!」
またぶたれそうになってけど、母さんが父さんを押さえてくれたおかげでそれは回避できた。
「あんた……お父さんとお母さんの気持ちも考えて頂戴。 私達はただ……あなたを真っ当な人間にしたいだけなの」
「じゃあ今の僕は真っ当じゃないって言いたいの?」
「そうよ! あんな子供じみた趣味に夢中になったせいで、あなたは彼女どころか友達だってできてないじゃない!! その上、今はフリーターよ!? お母さん恥ずかしいわ!!」
この時ほど余計なお世話だと叫びたくなる場面はないだろう。
そもそも僕は1人でいるのが好きなタイプだし、フリーターやっているのは単なる僕の実力不足であってアニメや漫画は関係ない。
そもそも高卒のフリーターなんて割といたような気がするんだけど……。
「目を覚まして! 今のあなたは病気よ!!」
「そうだぞ! いい加減に現実と向き合って、人間として恥じない生き方をしろ!!」
「……」
この時……僕の中で何かが音を立てて壊れた。
そして……今まで感じたことのない何かが腹の底から沸き上がり……僕の脳を支配する。
その時の僕には何が起きたのかはわからないけど……今ならわかる。
これが”殺意”という感情なんだって……。
「ふざけるな……ふざけるなぁぁぁ!!!」
気が付いたら僕は、キッチンに置いてあった包丁を握りしめ、怒りに任せて振り回していた。
「やっやめて!」
「おい! 馬鹿なことはやめろ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
大切なものを勝手に売りさばいたこと……僕の二次元への愛とオタクとしての誇りを侮辱されたこと……僕は我慢ができなくなり……理性を失った愚か者になってしまった。
”ただただこの2人を殺したい”
そんな思いだけが僕の体を突き動かしていた。
暴れまわる僕を父さんが押さえつけ、包丁を奪おうと取っ組み合う。
とはいっても非力な僕が腕力があって体格差もある父さんに力でかなうわけもなく……。
「うわっ!」
あっさりと包丁は奪われてしまった……その際にバランスを崩してテーブルの方へと倒れてしまった。
うっすらと大きな灰皿が見えたから……多分それに頭をぶつけてしまったんだと思う。
それ以降の記憶がないから、それが原因で前世の僕は死んだんだと思う。
なんだかミステリーにありきたりな場面だけれど……まあそれはいい。
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こうして僕は気が付いたらグレイとして異世界に転生していた。
生まれたばかりの頃は前世の記憶なんて何もなかったんだけど……5歳の誕生日に家の庭で転んだ際に意識を失ってしまい……目を覚ましたら今話した記憶が頭の中に浮かんできたと言う訳だ。
転生した今となってはもう……前世の両親に対して思うことはない。
全ては過去のことだからね。
そして僕はグレイとして新たな人生をスタートさせた……んだけど。
僕はたった今……一族から追放されてしまった。
どうしてそうなったかは次に話すとしよう。
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