クラスメイトのお嬢様にラブコメの相手役として雇われた
岡 あこ
お嬢様とラブコメ?
始まり
第1話 プロローグ
放課後,いつものように,のんびりと帰る準備をしていた.気が付けば,みな帰るか,部活に行ったのか,一人になっていた.高校生になって部活をする元気がある人は尊敬するよ.本当に.
静かな教室に,足音が近づいてきた.
「あっ」
教室にクラスメイトが戻ってきた.
赤坂 楓,一言で言えば,万能美少女お嬢様だ.性格は,自由奔放で,あまり良くはないが,それを差し引いても.圧倒的な顔の美しさと,スタイルの良さ,多分身長は170㎝はある.それに……なんか凄い肩が凝りそうだ.まあ,つまり,僕とは違う人類だ.
彼女とは,小学校から同じ学校で,いや,ずっと同じクラスだ.縁があるものだ.てか,何でお嬢様が普通の学校に通ってるんだ?まあ,あんまり喋ったことはない.喋ることないし.
「えっと,忘れ物ですか?」
声をかけないのも違うので,とりあえずそう言ってみた.
「違うよ.探したよ,平良君.私とラブコメしませんか?月200万円でどうですか?」
赤坂さんは,そう言ってこっちをニヤリと笑い指さした.死ぬほど,絵になった.
「はい?」
うん?はい?うん?何を言っているの?
「足りませんか?300万円で」
「いや,そうじゃなくて.何を言ってるんですか?」
理解が出来なかった.シンプルに何を言っている?冗談?えっ?何?
「だから,私とラブコメしませんか?冗談とかじゃないからね.」
ラブコメをするって何?
「それは,聞こえてますよ.その……内容が分からないんですけど.」
そう言うと彼女は手を叩き,こちらに近づいてきた.
それから,僕の目の前に立つと説明を始めた.
「私って,お嬢様じゃん」
「あんまり,自分で言うのはどうかと思いますよ.」
「それで,私って可愛いじゃん.スタイルも抜群だし」
「本当に,自分で言うものではないですよ」
「それで,性格も……性格は良くないか.」
「自覚症状あるんですね.」
口が滑った.
「……まあ,それで,私はモテるの,見た目とお金目当てでね.」
「はぁ」
それが何なのだろうか?急に自慢大会か?
「でも,そんなの青春じゃない.私は普通の青春がしたいの.分かる?」
「分からないです」
何も分からなかった.普通の青春って何?てか,何で僕にそんなこと言ってくる?彼女は美少女だが,やばいやつとは関わりたくない.
「分かりないさい.それで,私は,私の見た目に興味がない人を探したの」
「で,何で僕なんですか?」
興味がないって何だよ.もっといるだろ.興味あるし,クラスメイトに無関心はないでしょ.
「よく聞きましたね.それは,小学校から今までの期間の間,同じクラスになって.唯一告白してこなかった男子だから.」
えっ?そうなの?そんなにモテてるの?赤坂さん.そうなの.そして,
「……モテ自慢してます?」
「してないわよ.でも,私は,普通に青春を感じたいの.友達以上恋人未満みたいな距離で,おでかけしたいの,分かる?」
「分かりませんよ.」
贅沢者の悩みだ.青春がない僕には,あっこれになったら僕も青春が手に……入らないな.
「まあ,それで,君は今から,私のラブコメの相手役をして貰います.もちろん,報酬は出しますよ.月200万ですよ.断る理由は無いですよね.」
断る理由はない,お金もらえるなら,でもさ
「……いや,えっと.一つ.思ったことを言っても良いですか?」
「何?平良くん」
「お金でモテるのが嫌なのに,青春は現金で買おうとするの?」
結局,お金に頼ってるじゃん.
「……」
赤坂さんは,固まった.それから目を見開き,少し悲しそうな表情になってから,数秒してこっちを睨みつけた.忙しい人だな.
「いや,だって,そうじゃん.えっ?」
「……うるさい.じゃあ,もうただ働きしろ.」
何か逆キレしてる.口を膨らませてこっちを見ていた.愉快な人だな.
「……子供ですか.仮に僕が応じたとして.何時まで続くんですか.」
「……私が飽きるまでかな?」
まあ,すぐに飽きるだろうし.面白そうだし,いいかな.まあでも,200万とかは大丈夫なお金か分からないので.
「それなら,普通に勉強を教えてください.それで良いですよ.後,僕のラブコメ適正は低いですからね.それと,細かいルールや規則を」
とりあえず,賢いはずだから,勉強でも教えてもらおう.
「よし.でも,真面目な話,200万円払うから.じゃあ,今から一緒に帰ろう.」
赤坂さんは,そう言うと僕の右手を引っ張り始めた.この人が,思うラブコメが出来ないのは,多分これのせいだと思う.
「こっちの話聞いてますか?それと,あなた車では?」
お嬢様は,車で帰るはずだ.見たことがある.
「うるさい,いくよ.平良くん」
やっぱり,ノリで良いって言うんじゃなかったのかな?後悔が始まっていた.
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