30 遺跡の奥で

前回来た時は遺跡の地上部のみだった。

今回は初めて遺跡の内部へと入る。


朽ちかけているように見える入り口の階段を3人で降りてゆく。

もちろん情報収集は住んでいるが、10階層の最深部にはアダマンガーディアンがいるが、数年前にS級冒険者パーティが倒して以来討伐者はいないという。


この世界の遺跡もまた、迷宮と同じように原理が分かっていない不思議な場所ではある。上か下か、伸びている方向は逆ではあるが、基本無数に魔物が湧き続ける謎の空間である。


遺跡の特徴は、時間と共に内部がいつの間にか変化しているのだという。さすがにウルズのような小さな規模の遺跡では、あまり変化があるように思えない程度であったが、この遺跡の難易度が高い理由がすぐに分かった。


魔物はそう強くは無いが、内部は相当広く入り組んでいる。

そんな中、僕たちはどんどん下へと降りて行っている。


「次は、こっちでーす!」

クローリーの後についてどんどん進む。


クローリーがレベル35になって覚えたスキル『運命』によって直感がさえわたり、分帰路ではほぼほぼクローリーの思う方向が正解のルートであった。


――――――

『運命』冴えわたる直感はまさに運命

――――――


それでも8階層、9階層まで下りてくると、小さめの鎧を纏ったゴーレムである『リトルガーディアン』や天井から不意打ちを仕掛けてくる『槍蝙蝠』にそれなりに苦労した。

さらには踏むと地雷のように炸裂する、地面に埋め込まれている爆裂岩というトラップまであった。しかしそれはクローリーの「あぶないでーす」という声と指差しにより回避している。


ここに来てクローリーの有能さが目立ってくるので、やはり上位職であることの優位性を感じる。だがあまり褒めると本人がふんぞり返って動かなくなる可能性があるためほどほどに褒めながら進んでいる。


「到着でーす!」

その声と共に足を止めたクローリー。


なるほどここが最深部、アダマンガーディアンの待つボス部屋のようだ。

時刻はもう夕刻。だが帰還したらまた新たな道順で同じ時間がかかるだろう。S級冒険者パーティは2週間程かけて攻略したのだとか…『運命』ってすごいね。

ここは一気に攻略して良いのでは?そう思って2人に相談するが、2人も同じようにヤル気満々のようだ。


「じゃあ行こう!」

3人でボス部屋の扉を開ける。


見慣れた召喚陣からズゾゾと召喚される黒い鎧の騎士型ゴーレム。

出現し終わると手に持つ柄を斜め下に構えると、無いはずの刃が生えてくる。魔力剣のようなものか?そして左手には小盾を構えているのが様になっている。


久しぶりに緊張感のある戦いになるかもしれない。


…そう思っていた時もありました。


出会い頭にクローリーの『光の剣』が三発。それらが連続でアダマンガーディアンに叩き込まれ、アダマンガーディアンも必死に剣で弾きつつ応戦していたが、さらにクローリーが『光の剣』を飛ばす。


アダマントガーデディアンはすぐに壁際に追い詰められていた。

クローリーの無双は止まらない。


さらに特大の『光の剣』を飛ばし、アダマントガーデディアンは情けない悲鳴とともに胸を打ち抜かれ攻略完了となった。


「やってやったです!」

僕とカタリナは横たわるアダマンガーディアンに足を置き、高笑いしているクローリーに惜しみない拍手を送った。


どうやら遺跡は初回特定宝箱などは無いようだ。

ここら辺は確認していなかった僕もだが、2人も何気に期待していたようでキョロキョロ探した後、少しだけ落ち込んだ様子を見せる。


「戻ろっか…」

僕はそう声をかけ、部屋の中に出現した帰還用の魔方陣に乗って入り口まで飛ぶ。


少し時間は遅いが、その足でラドダルグさんの元へ訪れて、アダマントガーデディアンを提供する。

クローリーが「大活躍したです!」と自慢していたのが、ラドダルグさんは「そうかそうか」と自分の事のように喜んでいた。ちょっと鼻息が荒い。


これで残る巣材は迷宮の40階層ボス、黒騎士デスロード。

まずは疲れをしっかりとってまた迷宮攻略を進めることを決め、その日も眠りについた。


それから1週間、僕たちは遂に40階層のボス、黒騎士デスロードを難なく倒してしまった。四肢がバラバラになったそれを、そっくりそのままラドダルグさんの元に届けてある。


正直に言うと、40階層付近のマリオネットという見た目は木の人形のような魔物が、短剣を片手にワラワラと湧いてくる方が怖かった。精神的にだが…


連日の迷宮での戦いにより、僕のレベルも51となっている。

レベル50で『重量化』もⅢとなり、狙った先の空間事体を重くするようで、使う時にはこっそり脳内でグラビティと連呼している。


――――――

『重量化Ⅱ』→『重量化Ⅲ』触れればどんなものでも重く、念じれば打ち合う得物や周りの空間すら重くする

――――――


カタリナもレベル54になった。

レベル50の時には『烈風拳』というカタリナ初の遠距離攻撃だった。

殴りつけるような動作から衝撃波が発射され、ターゲットに当たるとドドドンという音と共にターゲットは吹き飛んでゆく。もちろん『連撃Ⅱ』によりさらに攻撃力は増加するのも確認済みだ。


――――――

『烈風拳』拳の衝撃波を3度飛ばす

――――――


クローリーはレベル48となり、レベル40で『超回復』。レベル45で『祈り』というスキルを覚えた。

『超回復』は軽い欠損なら修復できるほどの治癒スキルだが、大量に魔力を使うようで連発はできないようだ。『祈り』は魔法防御力を高める障壁を僕たちに付与できる。


クローリーは正直かなり万能になっている。聖女はやはりチートなのだろう。

でも僕だってチートでは負けてないけどね。


――――――

『超回復』あらゆる傷を癒す治癒の光

『祈り』友を守り害意をはねのける力

――――――


そんなパワーアップした僕たちは、ボス部屋でアダマントガーデディアンをスリムにした感じの黒騎士さんと向かい合う。

念のためクローリーに『祈り』を使ってもらい防御を固めた。


クローリーには「出会いがしらの『光の剣』はやめよ?効率より大事なものがあると思うんだ」と伝えておいたので、その時は後方待機していた。


まずは僕は『重量化Ⅲ』で黒騎士さんの周辺に重力のプレッシャーをかけ、何度か剣で打ち合う目に見えて々と動きが悪くなり、1分程度で剣を落としてしまう黒騎士さん。落とした剣はすぐに消えてしまった。

黒々していて良い剣だと思ったのに残念だ。


そんなことを思っている間に、黒騎士さんがカタリナの『連撃Ⅱ』を付与した『烈風拳』により、ダダダダダンという破裂音と共に壁まで吹き飛んで行くのを、ただ眺めていた。


またも完勝だった。

その後、アダマントガーデディアンの時と同じようにバラバラになった黒騎士さんだったものに足を置き、高笑いをしているクローリーをため息をつきながら見ていた。


これはとっとと魔剣を作ってもらって50階層行っちゃおう。

そう思った。


――――――

イテイオ ジョブ:掌る者 LV.51

攻撃:101

防御:101

敏捷:101

魔力:101

魔攻:101

魔防:101

器用:101

パッシブスキル 『精神耐性』

アクティブスキル 『剣技』『軽量化Ⅲ』『射撃』『重量化Ⅲ』

――――――

『剣技』剣が扱いやすくなる

『軽量化Ⅲ』触れればどんなものでも軽く、念じれば己や相手の身でさえも軽くする

『射撃』命中率が上昇する

『精神耐性』精神的苦痛の軽減

『重量化Ⅲ』触れればどんなものでも重く、念じれば打ち合う得物や周りの空間すら重くする

――――――


――――――

カタリナ ジョブ:武闘家 LV.54

攻撃:274

防御:138

敏捷:199

魔力:28

魔攻:39

魔防:84

器用:60

アクティブスキル 『正拳突き』『爆裂拳』『連撃Ⅱ』『気合』

――――――

『正拳突き』一撃必殺の力で撃ち抜く拳

『爆裂拳』炎を纏った強烈な一撃を放つ

『連撃Ⅱ』攻撃3倍に増幅させる

『気合』一時的に力を増幅させる

『烈風拳』拳の衝撃波を3度飛ばす

――――――


――――――

クローリー(偽) ジョブ:聖女 LV.54

攻撃:84

防御:34

敏捷:67

魔力:235

魔攻:108

魔防:276

器用:86

パッシブスキル 『運命』

アクティブスキル 『回復』『浄化』『結界』『光の剣』『超回復』『祈り』

――――――

『回復』傷を癒す治癒の光

『浄化』あらゆる毒を洗い流す

『結界』攻撃を弾く光輝く衝撃

『光の剣』聖なる力を籠めた光の剣

『運命』冴えわたる直感はまさに運命

『超回復』あらゆる傷を癒す治癒の光

『祈り』友を守り害意をはねのける力

――――――

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