龍神
ある村の話。
その村には龍神が祀られていた。
池には青銅製の龍が安置されており、村人たちは毎日、その像に水をかけた。
水をかけるのは、ただの水瓶ではなかった。古に神より授かったとされる神聖なものであった。
夏場など、池の水かさが減ると、村人たちは近くの水場から水を汲んで、龍神の怒りを招かないようにした。
龍神をおろそかにすると罰が当たり、大雨もしくは日照りに悩まされると、村人たちは信じていた。
月日が流れると、その村も近代化の波に襲われ、「迷信」を信じる者は減った。
水瓶は盗まれ、ある好事家の手に渡った。
結果、その村は雨期は大雨に、乾季は日照りに悩まされるようになり、廃れた。
そして、現代。
過疎化の一途をたどっていた村は、村おこしのために、業者を誘致して、大規模な太陽光発電施設をつくった。森林は伐採され、黒い板がどこまでも、どこまでも並んだ。
その結末は哀れなもので、施設が完成した直後に、記録を超える大雨が降り、施設は完全に破壊され、洪水で村も甚大な被害を受けた。
そのため、村人は全員、村を去った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます