第5話 お気に入りは彼氏持ち

 シュウトが睦月と接触した翌日、勇者の訓練が終わってすぐの時間だが睦月はシュウトと出会った廊下に来ていた。

 勇者は特定の一部は出入りが禁止しされているが、それ以外ならば城内を自由に歩くことが出来る。

 なのでこの場所に睦月が居ても特に不思議には思わない。


「昨日はここまでしかダメだって言ってたけど、この先にシュウトさんの部屋があるのかな」


 キョロキョロと周りを見ながら歩いていると、昨日本を運んでくれたメイドが向かいから歩いて来る。

 睦月は表情が明るくなりメイドに小走りで寄っていく。


「こんにちは。昨日は本を運んでくれてありがとうございました!」


「あなたは……勇者の如月睦月様ですね。滅相もございません、私達は勇者様のお手伝いをするように言いつかっておりますので、何なりとお申し付けください」


「えっと、それじゃあシュウトさんのお部屋はどこでしょうか?」


「シュウト様ですか? シュウト様のお部屋でしたらこの先にありますが、ただ今の時間は面会を禁止されていますのでお会いする事は出来ません」


「面会が禁止……って、シュウトさんは大事なお仕事をしているんですか?」


「いえそうではないのですが、これ以上はお話することが出来ません」


 そう言ってメイドはそそくさと去っていく。

 その様子に不安を隠せない睦月だが、部屋の場所もわからず誰に聞いても同じ答えが返って来そうなので、この日は素直に帰って行った。


 翌日も同じ時間に睦月は現れた。だが今回は手に何かを持っている。

 周囲を見回すと昨日とは違うメイドが居たので声をかけると、やはりシュウトは面会禁止だという。

 なので手に持っている物、手紙をシュウトに渡す様にお願いして去っていく。

 睦月は勇者達が使っている別館に戻ると、それを誰かが入り口で待っていた。


「睦月、どこへ行っていたんだ?」


「ごめんなさい裕晃ひろあき君、こっちの知り合いが居たからお話していたの」


「こっちの? あまり、仲良くなりすぎるなよ」


「もう、まだそんな事いってるの?」


 この男は大城戸裕晃おおきどひろあき、コルマダル学園の高等部生徒会長だ。

 身長一七〇センチメートルでメガネをかけており、真面目そうに見えるが真面目過ぎないタイプだ。

 睦月の肩に手を回すと別館に入り、どこかへと進んでいく。


「まだも何も、俺達はあいつらの事を信用し過ぎてはいけないんだ。向こうの都合で勝手に召喚するような連中だからな」


「だから、その代わりに色々と優遇してくれてるじゃない。こっちでの生活はとても快適だし、死んでも蘇生出来たり、スキルの習得方法も教えてくれるし」


 学生の勇者達にとって、いや教師たちにとってもスキルの存在はとても助けになる。

 こちらでの時間は寿命とは完全に別の時間となり、体を鍛えられ知識も得られるので、スポーツをしている者だけでなく誰もが今後の生活を優位に運べるモノばかり。

 一部の教師などは毛生え薬や毛生え魔法の研究をしたいという程だ。


 睦月と裕晃が向かった場所は一階の集会場。

 暗殺者の四人の事で話し合いをするようだが、昨日に続いて二日目らしく明日にはザナドゥ王国側に対応を連絡しないといけない。

 なにせ一国の王を暗殺しようとしたのだから、今後の自分達の立場に直接影響するのだ。


 さて少し時間は戻り、睦月と出会った翌日、睦月がシュウトに会いに来たが会えずに帰った日の事だ。

 その時シュウトは部屋で別の勇者と会っていた。

 ピンク色で短めのサイドポニーで少し日焼けした肌、薄めの化粧をしたギャル系の少女。

 制服はカスタムされており短いスカート、シャツは胸元のボタンを外していて豊かな胸が見えそうだ。


「ねぇシュウトっち、ウチとヤろ? ねぇヤろ?」


「いきなりだなお前は。少しは自分の身を案ずることはしないのか?」


 お茶でもしようと声をかけたのだが、シュウトに声をかけられるとホイホイと部屋についてきて、メイドにお茶の用意をさせようとソファーに座るといきなり隣に座って腕を絡ませてきた。


「ウチね、ビッチなんだ。あ、でも安心して、病気は持ってないし、シュウトっちからお金をもらおうなんて思ってないから」


「ビッチなのか? ウリ専門か?」


「ウリもするけど、好きな人からはもらってないよ。あーでも、学園ではウリ専って思われてるかも。オタク君たちともヤったけどお金はもらってないのにね」


「オタクというと、趣味にしか興味が無いという奴らか?」


「そそそ。でもオタク君たちも話してみたら結構可愛い子がいるから、話をして面白いな~と思ったらヤってるの」


「俺は話をして面白かったのか?」


「シュウトっちは別! ウチね、見た目だけで判断した事なかったんだけど、シュウトっちは顔良し話し良しだから、ねぇ、ヤろ? ビッチだから経験は豊富だし、シュウトっちもきっと喜んでくれるよ!」


 シュウトとしても見た目で選んだ十二人の内の一人なのでヤるつもりでいたが、まさかビッチで女から誘ってくるとは思っていなかったのだ。

 だが見た目で選んだだけあって容姿は好みだし、経験豊富というなら遠慮する必要が無いのだろうと安心している。

 なので容赦なく始まったのだが……


「えへ……えへへへ、どうしようシュウトっち……ウチ、処女だったのかも」


 すっ裸でシュウトに跨る少女、羽黒凜華はぐろりんかはシュウトの巨大な物を見て歓喜し、挿入しようとしても全部が入らず、それでも一気に腰を下ろして挿入すると大きな声を上げて果ててしまった。

 口を開けっ放しでよだれを垂らし、何とか意識をシュウトに向けると今まで得た事のない快楽に処女だったと発言した。


「処女かどうかは知らないが、お前の中はとても具合がいい。動くぞ」


 下から突き上げると豊かな胸が弾み嬌声が上がる。

 互いの手を握り合い凜華の体は激しく上下に揺れ、感じた事のない巨大な快楽に何度も果てるが直ぐに新たな波に襲われて耐えられなくなり、シュウトの胸に倒れ込む。

 その間もシュウトは腰を止める事はせず、凜華りんかの体を少し起こして胸を触る。


 ビキニの火焼け跡が白く残っており、乳首の色が妙にピンク色に光って見える。

 胸を両手で揉むと凜華は体を左右に揺らして悶え、自分の胸を揉む修斗の手を必死につかみ口に入れ、指を必死にしゃぶりだす。

 本当はキスをしたいがキスをしたら胸を触ってもらえなくなり、でももっと触れたいと思った様で指を舐めているのだ。


 シュウトが三回ほどイき、凜華は数えきれないほど果ててしまい、凜華は意識を失ってシュウトの胸で眠っている。


「中々良かったが体力がないな。おい」


 部屋の隅で待機していた無表情インテリメガネの爆乳エルフメイドに声をかけると、メイドは惜しげもなく上半身をはだけさせ大きいままのシュウトのイチモツを胸に挟む。

 顔面に射精するとエルフは長いスカートをたくし上げ、ビチャビチャになった下着を見せつける。

 シュウトは凜華りんかをソファーに寝かせ、エルフの下着を横にずらすと立ちあがって挿入する。



 勇者達が暗殺者の事で話し合いをしたのはこの日が最初だったが、凜華りんかの参加は途中からだった。

 残念ながら凜華りんかが遅れて来るのはいつもの事らしく、周囲の反応はあまりなかったのが幸いだ。

 二日目の話し合いは凜華りんか睦月むつきも最初から参加し、夜遅くになってようやく話が終わる。


 翌朝は学長の三浦と高等部・中等部の三年生学年主任、そして高等部と中等部の生徒会長の五人がザナドゥ王国国王変装したシュウトに挨拶に来た。


「朝早くからどうしたのじゃ勇者諸君」


 素のシュウトが使っている執務室ではなく、勇者召喚用に作られた豪華絢爛な執務室には、ザナドゥ王国の重鎮トップである九人の悪夢の騎士達ナイン・ナイトメア・ナイツ、通称トリプルナインも集まっていた。

 第一王妃パメラ

 第二王妃バーバラ聖女、キャロライン

 第三王妃レベッカ魔法兵長、フローレンス小さな男装の麗人都市開発長、キャロルカタコト爆乳内政・人事担当

 第四王妃カーリンハイエルフ

 ウィリアム騎士団長

 ビリー雑用係

 この九人はザナドゥ王国の建国に携わった者達や、国に多大な功績を残した者達であり、戦争となれば相手が裸足で逃げ出すほどの実力者でもある。


「面会の許可をいただきありがとうございます陛下へいか。この度の生徒四人の愚行を深くお詫び申し上げます」


 学長三浦が頭を下げると他の勇者達も頭を下げる。

 頭を下げた教師達の顔はずっと怯えたような表情だが、生徒の方は妙に落ち着いている、というかふてぶてしい表情だ。


「それで四人についてなのですが、何とか恩赦を頂けないでしょうか……もちろん罰は受けさせなければいけませんが、処刑だけは避けていただきたく……」


 国王は少しだけ考え机の左右にいる九人の悪夢の騎士トリプルナインを見ると、九人は何も言わず目をつむる。


「暗殺者共じゃが、国王に対する傷害は未遂であっても処刑じゃ。一族郎党な。だがこのまま執行すると、ワシ等にとっては勇者諸君全てを処刑しなくてはならなくなる」


「そっ! それは何とかお許しいただけないでしょうか!!」


「わざわざ二十年もかけて召喚した勇者諸君をこんな事で失う訳にはいかぬ。なので代替案だいたいあんをこちらでも用意した。おい」


 国王が強面の鎧を着こんだ男、ウィリアム騎士団長に声をかけると一歩前に出て丸めてある紙を縦に広げて読み上げる。


「勇者諸君の今後について

 一つ、暗殺者の四人は勇者諸君が魔王を倒すまで強制労働刑に処するものとする。

 二つ、今後勇者諸君が何らかの罪を犯した場合、ザナドゥ王国法により罰する。

 三つ、勇者諸君は今後さらなる能力の向上、魔王討伐に注力する事。

 四つ、勇者諸君は魔王討伐までザナドゥ王国と友好な関係を築くよう努力する事。

 以上である」


 内容を聞いた勇者達は険しい表情から一転して困惑した表情になった。

 どんな厳しい内容になるかと思いきや、四人以外は実質今までと変わらない対応という事なのだ。

 教師三人はホッと胸をなでおろすと同時に気を引き締めるのだが、生徒会長の二人は少しイヤラシイ笑顔になっていた。

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