第19話 遭遇

 飛行機を降りるとそこはヨーロッパの某国だった。

 そこに着くと、そこにはあらゆる人種の人間がいた。

 その光景を見ると、ユートピアなんて私には思えなかった。

 私個人的には、移民とかはどうでもいいけれど、正直に言えばここまでの社会になるなら移民を入れない方がよかったんじゃないかと思う。


 まずは反乱者に会わなければ。


「どこに行けばいいかな」

「私が心を読みます」


 真矢がそう言って力を使う。

 だが、すぐに真矢は頭を押さえ始めた。


「人が多すぎて、脳が混濁するよ」


 真矢が苦しむそぶりを見せた。


「大丈夫?」


 私は頭をなでる。


「うん、たぶん。考えてる人が多すぎて、飛行機の時よりも痛いよ」


 そういう事ねと私は思った。

 飛行機の中は多くの人が眠っていたりぼ~としていたりする。その際には複雑な思考なんてしない。

 でも街を歩く人たちは複雑な思考をしている人が多い。

 小説家とかの脳内を読み取ったらそれこそ致命的だ。

 真矢の力は万能だと思っていたのに、ほころびが出ている。


「でも大丈夫」

「無理はしないで」

「大丈夫」


 そう言って真矢は再び力を行使し始める。

 そして真矢の苦しむ顔を見て言うrと、真矢が「あ!」と叫んだ。

 重大な事実を見つけたらしかった。


 真矢が道案内をしてくれる。そしてその場所へと向かう。でも、今回向かうのはまさに戦場。

 私達は前提として死なない。


 でも、死なないだけで、そこまでの戦闘能力はない。

 油断したら投獄され、そのまま永遠に解放されないなんて最悪なケースもある。

 その際は腕輪を外したらんとかなるケースもあると思うけれど。


 段々と、汚らしい路地裏に続いていく。

 そこには、職がないのか倒れている人も多い。

 なんだか怖い。


『ご飯をください』


 何を言っているのか分からない。しかし、やせ細った子供たちが私たちに群がってくる。


『お腹空いた』

『死んじゃう』

『ご飯ご飯』


「どうしたらいいのこれ」


 姿が孤児たちに見えていないはずの由美さえも焦っている。

 このままだと総倒れだ。


「みなさん、ご飯が欲しいそうです」


 真矢が言った。

 真矢の脳内思考はすべて日本語として聞こえているらしい。

 ありがたい。



「ほら」


 私は手に持っていたおにぎりをそれぞれ一個与えた。

 しかし、本当に貧困が進んでいる。

 こんな国では革命軍が出来上がるのも仕方ないと言ったところね。

 その瞬間。


 バァン





 銃の音がした。

 私達はみんな一斉にとっさに目をつぶり手で耳の蓋をした。

 本物の銃弾音なんて初めて聞いた。


 そして目を開けると、強面の大男がそこに立っていた。


『おい、金を出せ』

「金を出せ」

『出さないと殺す』

「出さなかったら殺すと言ってます」


 真矢の的確な翻訳を聞いて、言ってる意味が分かった。

 でも、だからと言って状況が改善したわけではない。

 言葉が分かっても、この危機は脱出できない。


「どうしよう」


 由美は焦っている。


「由美が一番強いんだからお願い」

「分かった」


 そう言って由美が男の背後に回る。

 そしてそのまま拳で男の背中を殴る。


『っ何を!!』


 男は銃を連射する。

 銃弾って意外と高いんじゃなかったけ? なんて冷静な思考はもう捨てている。

 銃弾が足に当たる。傷は生まれないが、十分に痛い。

 でも、あの苦しみ、あの投獄の日々に比べたら、


「全然まし!」


 私は首に手をかける。

 殺しはしない。でも気絶させるだけだ。


『なめたことをしやがって』


 まさか、効いていない?

 どうしよう。




『あたしの島でふざけたことしやがって』


 その声が轟くと同時に、男の背中に巨大な雷の弾がぶつかる。


『っ痛いな。でも殺しはしない。安心しな』


 そして女性――赤髪の、年齢は26程度であろうか――が私のもとに来た。


『大丈夫か?』

「?」


 言葉が分からない。


『ジャパニーズか』


 そう言うと同時に、


「大丈夫か?」


 彼女は日本語を発した。

 まさかと思った。これは、まさに八人目の能力者だ。


「大丈夫です」


 私はおずおずと答えた。


「そうか、この辺りはごろつきが多い。あまり旅人が来るべき場所ではない」

「それは分かってます。でも」


 私は由美の背中を叩く。


「貴方にはこの子が見えてるんじゃないでしょうか」


 由美は能力者以外には見えない。

 だから由美が見れたらそれこそ能力者確定という事になる。


「見えるが、それがどうかしたか?」


 やはり、能力を持っている。


「私たちは、貴方と同じ能力を持ってます。由美はまさしく誰にも認知されない能力を持ってます」

「ほうほう」


 彼女は興味部下そうにこちらを見る。


「それで、何の能力があるんだ?」

「私は、その日一番かかわりのある人全てを殺す能力です。今はこの腕輪のおかげで一時的に封じられています。由美は誰にもかかわることのできない能力で、能力者以外の思考を読むことが出来ます。そして真矢は……」


 真矢の脳Ý力は人に教えられるのは危険だ。

 真矢の能力は他人の思考を読む力。それを教えるのは危険な物。そう、由美に聞いた。

 私はその能力のことを訊いた時には何も思わなかった。

 心を読まれることくらい、大したことが無い。


 勿論真矢のことを嫌いに思う時もあるかもしれない。でも、その思考が読まれて嫌なことはない。

 でも、この人も同じとは限らない。その場合、恐ろしいことになる可能性も十分にある。


 ここは嘘をつくべきじゃないかと思った。


「私は人の心を持つ能力です」


 だが、真矢がそう言い放った。

 まさか、真矢が自分から言うなんて思わなかった。


「真矢」


 私は真矢を見る。

 私の思考が真矢に伝わってるのにもかかわらず。

 真矢は自分の能力を伝えないと申し訳ないとでも思ったのだろう。


「そうか、そうか、思考を読む能力か。ならあたしの脳には何が映っているんだ?」

「えっと、面白そうだと」

「はは、あってるな。なるほど三者三葉、中々面白い能力だ。一人を除いてな」


 そして、彼女は私の方を見た。

 当然だ。私の能力はあまりにも実用が無さすぎる。自分自身でうまくコントロールできないという欠点もあるのだし。


「面白い。あたしのところに来い。面倒を見てやろう」


 その言葉に私は唾をのんだ。

 この人は反乱軍の一員。そう、まさにここで指名手配されてる、エヴァン・レイン、まさにその人だ。


 私が関あげていると、真矢が私の肩をトントンと叩いてきた。


「大丈夫です。私が見た所、悪い思考なんて見えません」

「そう」


 それなら安心だ。私は真矢の言葉にうなずいた。

 そして私たちはエヴァンさんの本拠地へと赴く事となった。


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