第22話 武術場
武術場は、乾いた土の敷かれた、天盖つきの広い闘技場のような場所だった。驚いたことに、貴賓席つきの観客席まで併設されている。
「魔法学院にこんな立派な武術場が」
アルマークが驚いてウェンディを見ると、ウェンディは頷く。
「すごいでしょう。年に一度の武術大会の日には、ガライ王をはじめとしてたくさんの来賓が訪れるの」
「ということは、王様の前で戦ってみせるっていうこと?」
「そう。だから、優勝するのはすごく名誉なことなんだよ」
ウェンディは、昨日アルマークの前で涙ぐんだときとはうって変わり、今日はいつも通り明るく振る舞っている。
「初等部では試合するのは三年生だけだから、私達が参加するのは今年初めてなの」
「へえ。この学院には武術大会以外にもそういう大会って……」
「おい、うるさいぞ新入り!」
アルマークの言葉を遮るように、トルクが大声を出した。
「ボーエン先生が来るまで静かにしてろ!」
「ああ、ごめん」
アルマークは謝ってから、隣にいたモーゲンにそっと囁く。
「トルクは今日はずいぶんピリピリしてるね」
「あいつ武術にはすごくプライド持ってるから。確かに強いけど戦い方が乱暴で、相手したくないんだ」
モーゲンは肩をすくめて心底嫌そうな顔をしてみせた。
じきに、がっしりした体格の教師が入ってきた。
「全員いるな。よし、授業を始める。このクラスには新顔がいるんだったな。編入生の、アルマーク、だったか? 君のことは学院長からよく聞いている。武術教官のボーエンだ。よろしくな」
「お願いします」
アルマークが頭を下げると、ボーエンは頷いた。
「いい目をしている。強くなるぞ。……まずはみんなの練習を見学していろ。やり方はじきにわかってくるはずだ」
「はい」
アルマークは頷く。
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