第20話 僕とお父さんとお風呂

今日は広い公園でたくさん遊んで

お腹が空いたから回転寿司で

夕ごはん食べた。

たくさん動いたからいつもより

たくさん食べた。

お腹いっぱいになったんだ。


帰りに夜遅くなったから

お風呂に入って帰ろうと言うことになった。


男湯と女湯に分かれるから

僕はお母さんとお姉ちゃんと入れない。

でもお父さんが一緒だから安心だと

思ったんだ。


「蒼斗、中入るよ。」


 男湯の更衣室で服を脱いでから

 大浴場に進んだ。


「うん。」


 お父さんにシャワーを頭にかけられた。


「うわー、濡れちゃう。

 お父さん、タオルは?」


「無いよ?」


「え?なんで!!」


「えー、だって、お母さんが

 バスタオルのレンタルと

 ナイロンタオルしか買わなかったから。

 代わりに手で拭いてあげるから。」


「やだ!拭けてないし!

 意味ないじゃん。」


「意味なくないでしょ。」


「もう、お母さん許さない!!」


「そうだよ、お父さん悪くないよ。」



 母は一連の流れを父から聞く。


「ちょっと待ってよ。

 お父さん、小銭持ってるんだから

 フェイスタオル買いに

 行ってもいいでしょ。」


「えー、面倒くさいよ。

 別に良いじゃん。」


 ここにもどこか

 子供のようなお父さんがいる。


「通りで後部座席の2人が

 騒がしくて喧嘩してるわけだ。

 ストレス発散だね。」


 姉弟の喧嘩が騒がしく

 繰り広げられている。

 僕は狼のように騒ぐ。


 

(ま、これも私は

 楽しんでるかもしれないな。

 ただ、単に買い物ミスー。)


 次からは気をつけようと

 心に誓う母だった。ぐすん。


「僕が顔に水かかるの

 嫌いなの知ってるでしょーーー!!」

 

 帰りの車の中は蒼斗の声で響き渡った。

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