第11話:レベル上げ:チバサナ視点

20XX年4月3日:伏見神社ダンジョン66階:千葉佐那21歳視点


 お姉ちゃんがバカな事を言ってしまったので、急いで助けに入りました。

 以前は正義感の強いお姉ちゃんが自慢でしたが、今は違います。

 偏った自分本位の正義感は、人を傷つけると分かりました。


 ダンジョン病で意識不明の寝たきりになり、1年が過ぎていました。

 目覚めたばかりですが、死にかけた事で世の中の見方が変わりました。


 お母さんや私がダンジョン病になったのも、正義感や常識にとらわれてがんばり過ぎてしまったからです。


 積極的に悪い事をしようとは思いませんが、時には周りに合わせて正義感を忘れないと、自分達が死ぬ事もあると思い知りました。


 それが自分達だけなら自業自得ですが、命の恩人であるおじさんや、おじさんのお母さんを死なせるような事があったら、僕はお姉ちゃんを許せなくなる。


「佐那、雑念は捨てろ、よけいな事は考えず、レベル上げに専念しろ!

 慌てず確実にしとめろ、しとめ損ねた奴は俺が斃す」


「はい!」


 グリーンドラゴンを狩り始めて何時間たったのか、もう分からないです。

 何体のグリーンドラゴンを狩ったのかも覚えていません。

 100体までは数えていたのですが、それ以上は数えられなくなりました。


 狩り始めた当初は、1体斃しただけでレベルが上がった事を自覚しました。

 それくらいグリーンドラゴンと私ではレベルに差がありました。

 でも、もう今では、10体斃してもレベルが上がりません。


 上がらなくなった分、とんでもなく強くなりました。

 一撃で与えられる攻撃力が100倍になっている気がします。

 身体の動き、素早さもとんでもなく向上しています。


 攻撃力、力の上昇は直ぐに役立ちますが、素早さは役立ちません。

 頭と身体が一致しないので、思い通りの場所に止まれないのです。


 おじさんがグリーンドラゴンを動けなくしてくれるから、狙いが定まっていなくても、何とか斃せているのです。


「武器を変えるぞ、ドラゴンナインフィートロッドだ、使え」


「え、え、え、え、えぇえええええ」


「ここまでレベルアップしたら、武器を変えても大丈夫だ」


「さっき、慣れない武器は練習してから使うと言っていませんでした?!」


「あれは、佐那がここまでがんばるとは思っていなかったからだ。

 ここまでがんばってレベルを上げたら、グリーンドラゴンていどならいないも同じだから、少し時間がかかってもいいから、九尺棒の練習をしながら狩れ」


「おじさんスパルタすぎ!」


「動けないグリーンドラゴンの急所を叩くだけのどこがスパルタだ?」


「……そう言われたらそうか?」


「覚える型はやって見せるから、その通りにすればいい、こうだ、やってみろ」


「はい!」


★★★★★★


 091:名無しV

 レベル上げ、どんだけ続ける気だよ!


 092:名無しA

 がんばる佐那がけなげだ!


 093:名無しV

 虐待やパワハラで運営に報告しないか?


 094:名無しA

 だけど、レベルが上がらないとお母さんを助けられないぞ?


 095:名無しC

 難しい判断だよな、じゃまする事になったら恨まれるぞ!


 096:名無しE

 このレベルの武闘家が外に出たらどれだけの戦闘力があるんだ?


 097:名無しD

 武装した自衛官や機動隊員が相手でも無双できるんじゃないか?


 098:名無しV

 大量虐殺をしても、ダンジョンに逃げ込まれたら絶対に捕まえられないぞ。


 099:名無しP

 俺なら運営に通報なんてしない、命が惜しいからな。


 100:名無しX

 バカな事をはやめておけ、これだけ強くなれてお母さんを助けられるんだ。

 恩に感じる事はあっても、恨む事はないはずだ。


 101:ホワイトナイト

This is the kind of guidance I would like to receive, even if I had to sign a contract with Shohei to give half of the lifetime worth of drops I'll get from now on. Don't report me for any stupid reason, or you'll never be able to watch this!

(これから手に入る一生分のドロップを、ショウヘイに半分渡す契約をしてでも受けたい指導だぞ、いいかげんな理由で通報するな、これを観られなくなるぞ!)


 102:マリリンモンロー級の美女よ

If it were me, I would sign a contract with those conditions right away.

(私なら今直ぐにでもその条件で契約するわ)


 103:名無しのアメリカ人A

Shohei, I'll give you half of the drops until I die, so please give me a private lesson!

(ショウヘイ、死ぬまでドロップの半分を渡すから、プライベートレッスン頼む!)


 104:名無しのドイツ人A

Ich gebe Ihnen die Hälfte der Tropfen aller Spezialeinheiten, die vom Spezialstab der Soshu Union angeheuert und ausgebildet wurden. Wären Sie also bereit, einen Vertrag mit mir zu unterzeichnen?

(相州連合の特別職員に迎えて、指導してくれた特殊部隊全員のドロップを半分渡すから、契約してくれないだろうか?)


 105:名無しのスイス人A

Die Schweiz wäre sicher, wenn Shohei in ein Land der Europäischen Union einwandern würde. Aber wenn eine Einwanderung nicht möglich ist, könnte er dann einfach einen befristeten Arbeitsvertrag unterzeichnen?

(ショウヘイが欧州連合のどこかの国に移民してくれたら、スイスも安心なのだが、移民が無理なら期間限定の雇用契約だけでも結んでくれないだろうか?)


 106:名無しのフランス人A

Ce serait bien si les troupes étrangères pouvaient m'accueillir, mais les conditions sont trop mauvaises, non ?

(外国人部隊に迎えられたら良いんだけど、条件が悪すぎるわよね?)


 106:名無しの中国人A

翔平,你在听吗?你甚至可以让他当一个共产党大官直属城市的市长。

你可以对你喜欢的城市做任何你想做的事,如果你愿意的话我会添加一个地下城。

(ショウヘイ、聞いているか、共産党の大幹部兼任の直轄市市長にしてもいいぞ。

 好きな市を好き勝手にしていいぞ、望むならダンジョンも1つつけるぞ)


 107:名無しD

 とんでもない書き込みをしている奴がいるぞ!


 108:銀仮面

 調子に乗った奴が勝手に書き込んでいるだけだとは思うが……


 109:名無しW

 本物の政府関係者だったら怖いな。


 110:名無しの中国人A

我们国家是严肃的,请认真思考!

(我が国は本気だぞ、真剣に考えてくれ!)


 111:名無しのドイツ人A

Noch einmal fordere ich meinen Freund dringend auf, den Raum zu verlassen.

(もう一度友人に強く言ってくる、離席する)


 112:名無しのスイス人A

Wäre Shohei katholisch gewesen, hätte er in die Schweiz auswandern und als Wächter in den Vatikan gehen können ...

(ショウヘイがカトリックなら、スイスに移民してもらって、衛兵としてバチカンに行ってもらえるのだが……)


 113:名無しW

 スイス人が意味不明の事を言っているが、なんなんだ?


 114:ホワイトナイト

Some Catholics consider it an honor to serve the Vatican.

(カトリックのなかには、バチカンに奉仕するのを栄誉だと考える者がいる)


 115:名無しA

 なるほど、そう言う事か!


 116:名無しB

 ショウヘイがカトリックな訳ないだろう。


 114:ホワイトナイト

Regardless of whether they are Catholic or not, if they continue their clinical experiments in the Fushimi Shrine dungeon without any results, it is possible that they will go to other dungeons for materials.

(カトリックかどうかは別にして、このまま伏見神社ダンジョンでの臨床実験を続けても成果がでなければ、素材のために他のダンジョンに行く事はありえる)


 115:名無しのドイツ人D

Genau, es ist ein klinisches Experiment, bei dem ein neues Material mit einem hervorragenden Absatz kombiniert wird!

(そうか、新たな素材とエクセレントヒールを組わせた臨床実験だな!)


 116:名無しの中国人A

如果翔平愿意的话,我们国家已经准备好释放所有地下城。

(我が国はショウヘイが望むなら全てのダンジョンを解放する用意がある)


 117:名無しA

 こいつ本物の政府関係者じゃないか?


 116:名無しB

 総理大臣、急いで国中のダンジョンから素材を集めろ!

 ショウヘイが他国に奪われてしまうぞ!


★★★★★★


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