勇者なのにガンナー!? 剥奪された世界最強の勇者 ~異世界からの召喚者にその座を追われた俺は、辺境の地でスローライフを送る(予定)~

その辺の双剣使い

一章 謎多き世界最強の勇者

第0話



 ───我がまま国王の気まぐれにも困ったもんだな。


 王宮の近衛騎士団が訓練に使っている練兵場へと向かう途中で、彼は国王が突然言い出した事に対し呆れ返っていた。


 ───いくら常人離れした能力を持っているからと言っても、相手はろくに戦闘経験も無さそうなガキだぞ。


 そう一人、心の中で呟いていた彼は、身長180センチ程の、黒髪に黒い瞳をした精悍なマスクを持つ、20代前半と思われる青年であった。


 王と共に少し前を歩く、10代半ばと思われる相手の少年は、ブラウンの髪に黒い瞳をした、眉目秀麗な男児である。


 少年の格好はというと、この国の市民がするような正装に近い服装であり、彼はそれを着崩して着用していた。


 ───まぁ、力の差は歴然だかな。適当に、プライドを傷つけない程度に相手してやるか。


 青年が、どう決着をつけるのかをあれこれ考えているうちに、御前試合を観戦する者達と対象の二人は、近衛騎士団の練兵場へと到着する。


 訓練用の木剣を渡され、練兵場の中央にて対峙する二人。


 観客達は、その周りを取り囲むような配置だ。


 木剣を中段に構える青年。対する少年はというと、剣を構える事もなく、切っ先を地面についた状態で、左の手のひらを前方に押し出していた。


 相手の少年から、強烈な気を感じ取る青年。


 彼は咄嗟に考えを巡らすも、時既に遅し。少年の前方には、金色に輝く、直径50センチ程の光弾が作り出されていたのだ。


「こいつ、イカれてんのか!? こんな状況で、そんな技使うなよ!」


 思わずそう叫んでしまう青年であったが、光の渦に呑み込まれた彼の意識は、そのまま深い闇へと沈んで行くのであった───

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