第10話
十四時十分 ターミナル内
アーマードバトルスーツのドドリアン十機が、はげしく砂埃を上げて、ターミナル内に侵入する。
個人宇宙船が宇宙へ飛び出そうとしていたのに、管制塔からの指示がなくなり、ずっと待ちぼうけ状態だった。さすがに異常に気付き、その個人宇宙船は発進し始めたが、手遅れだった。
ギャギのドドリアンが、警備のタルラントから回収したライフルで発進しようとしている宇宙船を撃ち抜いた。
船体が少しグニャッと曲がったかと思うと、激しい爆発音を上げ大破した。
「リーダー。聞こえているかい。ターミナルも制圧したぜ」
ギャギは無線で管制室に連絡する
『よくやった。計画通りだ。とのことです』
リーダーではなく、通信士が代わりに答えた。
「次の作業にうつるぜ」
『任せた。とのことです』
ドドリアン部隊の半分は、新たに巨大な爆弾をターミナルビルの外壁に設置し始めた。
そして残りの半分は、他の警備アーマードバトルスーツを倒しに行く。
十四時十分 管制室
管制室からターミナル内を見ると、ドドリアンが十機入って来たのが見える。
発進準備をしている宇宙船をドドリアンがライフルで撃ち激しく爆発する。
『聞こえているかい。ターミナルも制圧したぜ』
「リーダー。ターミナルを制圧したって連絡あったぜ」
ロンは通信士に、「よくやった。計画通りだ」と言った。
通信係は、ロンの言葉を、そのまま、ドドリアン部隊リーダー、ギャギに伝える。
『次の作業にうつるぜ』
「任せた」
再び通信士はロンの言葉をそのまま伝える。
「おい、ターミナルビル内の制圧状況はどうなっている。警備室に問い合わせろ」
警備室からの回答は、ほぼ制圧したであった。ロンは直接指示するため、警備室に電話する。
「まだ制圧できていないのは何処だ。そこに人員を集めろ」
ロンが指示する。
『しかし、もう五人も殺されている。一箇所に集めたら、手が回らない場所が出きるぜ』
警備室のメンバーが言った。
「いつの間に五人もか! なぜだ」
『一人やたらと強い地球人がいる。五人の内三人は、そいつにやられている』
実際には四人がクマイアにやられているが、一人は警備室を制圧する前にやられていたので、ロン達は誰に殺されたのか知ることができなかった。
「爆弾を爆発させて、館内放送で降伏を呼び掛ければどうだ」
管制室にいるメンバーがロンに助言した。ロンはニヤリとして答える。
「おい、奴の近くにある爆弾の番号を教えろ」
警備室にロンが言った。
しばらく間があってから、警備室から答えがあった。
「聞いていたな」
管制室でノートパソコンを広げているメンバーに言った。
「遠慮なくいくぜ」
ノートパソコンのキーを叩くと、ターミナルビル中に響く爆発音、軋む衝撃が走る。
「警備室。どうだ」
『監視カメラもいかれちまって、どうなったかなんてわからねえ』
爆弾を爆発させるように進言したメンバーがロンに殴られる。
「殴るなら降伏を呼び掛けてからにしてくれよ」
ロンはターミナルビル内への放送用マイクのスイッチを入れる。
「今の爆発は我々が仕掛けた爆弾のものだ。同じモノをターミナルビル中に仕掛けた。死にたくなければ降伏し、武器を捨てて待合ロビーに集まれ」
ロンはそこでマイクのスイッチを切る。
「警備室に連絡を取って、奴を探させろ」
しばらく待ったが、警備室からは見つけたと言う報告は来なかった。
「近くにいるメンバーに死体を捜させろ」
十四時十二分 待合ロビー近くの通路
メンバーの一人がロンからの携帯電話でクマイアの死体を探しに行く。
さっきまでクマイアが戦っていた場所である。
「誰もいないじゃないか」
小石が転がる音がする。急いで振り向き銃を構えると、そこに襲撃メンバーの一人が立っていた。
「驚かすなよ。敵かと思っただろ」
確認に来たメンバーが味方だと思い近づくと、立っていたメンバーが剣で確認に来たメンバーを貫いた。
「な、なぜだ」
すると目の前のマッカル人が徐々に地球人に変わっていく。正体はクマイアだった。
「わるかったな。人違いだ」
確認に来たメンバーは、無念そうな表情で死んでいった。
その時、クマイアの携帯電話が鳴った。クマイアは携帯電話を手の平に出すと通話する。
「もしもし」
エルからの電話であった。
『クマイア様。お願いがあります』
血生臭い、緊張感のある今の状況には、似つかわしくない、のんびり口調だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます