第7話 白々しい?

「えっ・・・?」

君は意外そうに見つめ返した。


俺がぶっきらぼうに置いた包みに戸惑いながら。


それは。

俺の精一杯の強がりと想いを込めたプレゼント。


ホワイトデーから一週間以上も過ぎた金曜日。

俺は出張のお土産と称して彼女に包みを渡した。


本当は。

彼女へ伝えたい恋心を託したのだけど。


「あっー・・・!」

彼女よりも先に会社の「お局様」が大きな声で叫んだ。


「これ、●島のロールケーキじゃん!」


そう。

ネットで何度も調べた女子に人気のスィーツで一番高いやつだ。


ホワイトデー当日だと「お返し」が殺到していて有難味がないだろうと、わざと遅らせて彼女の気を引こうとした俺の稚拙な策略は見事に台無し(笑)になった。


「三時のお茶に食べようね、ありがとう・・・山口君?」


イヤイヤ。

名前、間違っているって!


「お局様」は嬉しそうに彼女の肩を抱いて給湯室に連れ去っていった。


置き去りにする俺の方を彼女はチラチラ振り返るのだが「お局様」は容赦無く、俺が天使と思い込んでいる山本さんを連れ去っていく残酷な笑顔が、どことなく「経理ソフトウェア」のCMに出演している女優さんに似ていると、ふと思いながらも、俺は何も言えず、只、二人の後姿を見送るしかできなかったのだったの、だった。

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