ep.18 総力戦3
法皇国 宮殿
「動くな! 日本軍だ!」
ジェットパックによる空挺降下で、国境警備軍は宮殿を制圧。
え?警備している近衛軍?
あぁ、サプレッサー付き短小銃の良い的だったさ。
「皇太子、無益な抵抗はおやめください。我々は法皇国を滅ぼす気はありません。」
「皇帝陛下を殺しておいて何を...」
「あれは行き違いによるものであって、我が国の正式な意思ではありません。外交官が何度も通達しているはずですが?」
「そんな情報は来ていないぞ! デタラメはよせ!」
「話になりませんな。とりあえず軍に攻撃停止を命令してもらえませんかね。でないと法皇国は真っ平らになりますぞ」
「...攻撃停止だけだ。武装解除はせぬぞ」
「ひとまずはそれで結構ですよ」
こうして水軍の失態は国境警備軍によって解決された。
まさかこれが陸海軍の対立につながるとはこの時点で誰も知らなかった。
一時間後、水軍艦隊旗艦
「では、非公式に講和会議を始めます。ですがまずは両国の今戦争に対する認識を確認しましょう」
「皇帝陛下を殺され、右往左往していたところに一方的に貴国に空爆された。それ以下でも以上でもない!」
「我軍が皇帝陛下の乗っておられたゴンドラに攻撃したのは間違いありません。しかし、事前に通達されていない識別コードと軍服で防空識別圏に侵入したため、やむを得ず攻撃したのです。しかも当たっても墜落しないよう配慮し攻撃をしていました」
「貴国に無線とやらがあっただろう! あれを使えばすぐに我が国に確認できたはずだ! それに何が当たっても墜落しないように〜だ! 現に墜落しているではないか!」
「無線はモールス信号にしか対応していなく、とても戦闘中には使えません。またゴンドラが墜落したのは護衛についていた貴国のワイバーンが交戦中にゴンドラに衝突したためです。我が国の攻撃によってではありません」
30分後
「...皇帝陛下の件はそれで納得してやろう。だがワイバーン基地を破壊したのはなぜだ? 弁明を聞こうじゃないか」
「派遣した大使の乗った船が攻撃されたため、必要最小限度の反撃を行いました」
「あれが必要最小限だと!? ふざけるな! それに貴国の船を攻撃したのは暴走した民衆だ! 私の命令ではない!」
「運河警備隊は暴徒を止めもせずサボタージュしていたようですが?」
「ぐぬぬ...じゃあ停戦交渉に向かった大将を殺害したのはなぜだ!」
「それは貴国が我が国の74式戦車を攻撃しているように見えた兵士の暴走によるものです。まぁしっかり訓練が行き届いていなかった我が国にも責任はあるため、倒壊した建物等の賠償金は支払います」
五時間後
「と、いうことで講和条約は今現在をもって発効されました」
1.法皇国は大日本帝国への敵対行動を取る民衆を取り締まらなければならない。
2.法皇国は大日本帝国の許可なしに軍事条約を締結することができない。
一方経済条約については許可を必要としないが、大日本帝国が定める敵対国以外に限る。
3.法皇国軍3分の2を大日本帝国の求めに応じ、必要数を指定箇所に投入できることとする。
一方残りの3分の1に限っては恒久的に法皇国の指揮下とすることを大日本帝国が保証する。
4.法皇国が軍事施設を建設、改築する際は大日本帝国の許可を必要とする。
5.法皇国は恒久的な大日本帝国によるワイバーン基地の使用を認めるものとする。
6.法皇国は恒久的な大日本帝国による魔法研究所の使用を認めるものとする。
また現在知りえている魔法技術のすべてを大日本帝国に開示すること。
7.法皇国は大日本帝国が派遣する連絡要員を保護せねばならない。
また同様に、大日本帝国も法皇国が派遣する連絡要員を保護しなければならない。
傀儡国以下植民地以上、属国ぐらいといった感じだ。
法皇国民にはクーデターと勘違いから始まったくだらない戦争、というプロパガンダを信じ込ませるよう工作中だ。また破損した軍事施設や居住区は日帝による支援で大幅な強化を施されることとなっている。
「はぁ、兵器の修理に法皇国施設の修繕に、法皇国軍の再編...過労死しそう...」
参謀長は嘆く。
「まぁまぁ、法皇国の研究所も手に入ったんですから...」
「うーん、じゃあ息抜きに隼でも作ろうかな」
「全部法皇国に筒抜けになりますけどね」
「確かに...そうだ! じゃあww2程度の航空機を他国に輸出しつつ、本国でF-15なんかを運用すればいいのだ!」
「ミサイルなんてどうやって作るんです? この世界で手に入れることができない学校のpcを載っけるつもりで?」
「ま、まぁ20mmバルカン砲だけでもww2機相手なら...」
こうして帝国軍兵器運用試験師団という名前で持ちうる全ての技術を使った少数精鋭の軍が作られることとなった。機密性が高いため、本拠地は学校ではなく遠くにある無人島である。
「あー、無人島に物資輸送するための二式大艇も作らなきゃ...」
参謀長はまた過労であった。
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