古代殲滅記〜魔法がある古代の地球に学校ごと転移したので、千年帝国を目指します〜
めんどくさいミリオタ
ep.1 異世界へ侵入
俺は武氏義之。
その辺の一般的な中学生。素は陽キャに近いのかもしれないが、趣味が完全に陰キャななんとも言えないひねくれた性格だ。
軽い厨二病で、ミリオタ、PCオタ、アニオタ、エセプログラマーという陰キャ属性欲張りハッピーセット。
思想は普通の右である。ただ街宣車は大嫌い。
今日もいつも通りボ~と考え事でもしながら数学の時間を潰していた。内容は、学校にテロリストが来たらどう立ち回るかとか、学校に核シェルターを作るんであればどの場所が最適か、など。
決してくだらなくは無いぞ! 実際に起こったら物凄く役に立つだろう。起これば...
不審なテロリストが居ないか外を眺め…警備してた時だ。
「うっ、目がぁ! 目がぁ!」
「おい、どういうことだ?」
一瞬目眩がしたと思えば、あたり一面草原だった。
「いやこれは何かの幻覚だ! Windows xp時代の夢でも見てるんだ!」
そんな現実と夢の埋め合わせみたいな考えをセレロン以下の脳でフル回転させた。
だが突然その回転にブレーキがかかった。
他のクラスメイトたちが窓を見ながら叫び声を出したのだ。
無理もない。どうやら集団で幻覚を見るような異常事態が起きているらしい。
そりゃ精神的に参ってしまうやつも出てくるだろう。
数分後、校舎中から聞こえた悲鳴ともなんとも言えない騒音が薄れた頃、先生たちが何やら内線やら掛け声で話をし始めた。今までも試みていたのかもしれないが、"騒音"に邪魔されて自分には聞こえなかった。
いつもただの学校を動かす歯車1ユニット、もしくはうるせぇスピーカー1台としか捉えていなかった先生を俺はようやく見直した。
人生で初めて、いや、おそらく人類が一度も体験したことの無い異常事態でも落ちついて状況確認をしている。まぁ、捗っているとはおせじでも言えないが。
なんせ自分のクラス周辺に数学と理科の先生しかいなかったのだ。
そりゃこんな非科学的なことには対処し辛いわな。
理系な方面は任せて、自分は長年に及ぶ軍事情報の収集と戦史の探究の成果を発揮しようじゃないか…
無理だ。何にしても情報が無くては考察すらできん。情報は大事だぞ?なぜかといえば第二次世界大戦のソ連が...
おっと話が逸れた。
一生かけてもわからなそうな問題に脳の処理能力を割くべきではない。
なんせ人間はシングルコアプロセッサーだからな! (聖徳太子? あいつはマルチコアプロセッサーだ)
学校以外すべてが草原に置き換わった原因は、この世界を作って遊んでいるプレイヤーがコマンドでやったことにでもしておこう。
まず学校以外すべて吹き飛んだのなら全校の人間が生きていくだけでも大変だぞ。
なぜか電気は付いているが…
衣食住の内、衣服は制服と体操着ぐらいしかない。
食は給食室の食材でせいぜい一日ニ食で一、二日しか持たないだろう...いや、防災倉庫があるか。
住は災害の備えにダンボールやら布団やらが大量にあるはずだから当分はもつ。
...だが防災倉庫の食料は一ヶ月ぐらいも持たないだろうし、
一秒でも早く自力で確保できるようにするしかない!
そう思い立った俺は話の分かりそうな歴史の先生に言いに行くことに。
え?陰キャが授業中に席を堂々と立てるわけがないだって?
ふん、この学校に秩序など今はないのさ...てか先生何やってんだ!
原因究明とかより秩序の再構築が先だろうが! 暴動が起こったらどうする! ここの校長はアナーキストか!
...良くないな。これじゃ某掲示板の創造主のレベル...いやそれどころか悪質クレーマー以下じゃないか。
そしてこの時知る由もないが、大変失礼なことに学校の首脳陣は出張で不在らしく、指導者不在のままの対応を迫られていたらしい。そりゃこうなるわな。
ーーーーーー
職員室で歴史の先生と話した俺は、やはり自分の目論見は正しかったと思った。
歴史の先生曰く、
「確かに水、食料は国家を維持するには一番重要だからな。逆にそれさえ与えとけばなんとでもなるし」
そこからは早い。歴史オタやミリオタの同志、カリスマ性のあるお飾りを集め放送室を手際よく占拠。誰の演説の内容にするかで時間を浪費してしまったが、それ以外は我ながら手際よく勧めたと思う。
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