いつもの日常、少し変わった日常。

半角あゝ

第一章 春 ――小鳥遊たかし視点――

第一話 目と視線

 放課後。一年一組の教室。

 俺らは女子の視線を浴びている。


「僕はなんて罪な男なんだ」


 訳のわからないことを言っているのは幼馴染で親友の佐々木ささき優男やさお

 女子を引き寄せて虜にするフェロモンでも出しているのかと疑うほどにモテるのだ。


「たかちゃん、なぜ僕はモテるのだろうか」


「哲学みたいに俺に聞くな。

 というか、周りにいる女子がずっとこっちを見てて気味が悪いんだが」


「僕のかわい子ちゃんたちを悪く言わないでくれる?」


「頼むからどうにかしてくれ」


「しょうがないよ。僕が美しすぎるせいで目が放せないんだよ」


「は?」


 女子に囲まれるのは夢だったが、こんなのは望んでいない。もっとも、視線は優男の方に向いているが。


「というか、お前はこの光景を見慣れているんだろうけど、怖くないのか?」


「怖い? たかちゃんって目悪くなったの?」


 これは煽りなのか、はたまた本心なのかどうかは知らないがどうしてだろう、俺の拳から怒りを感じる。


「かわい子ちゃんたちの目をよく見て。可愛いでしょ?」


「お前は、目が血走った女子たちを可愛いと思うのか?」


「血走ってなんかないよ。恋してる目だよ」


「お前の方が目悪いんじゃないか?」

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