第88話 倉庫の分類とちょー毒草!
クートとゴレイチは草刈りに計5日かかった。
最初は2人で草刈りをしていたが、ゴレイチが素手で引き抜いている事に気付き、効率が悪いと感じたクートが聖燃鋼の鎌を作り与えたことで作業スピードは上がった。
だがそれでも小さな島3つ、それも全体を草刈りするには時間がかかった。
居住島と素材島は草を刈るだけで済んだが、聖樹島に生えているものは、山菜だ。つまり適当に根を刈るのではなく、根っこから引き抜いたり、土を掘って優しく取り出したりというものが多かった。
ゴレイチが採り方を知らないものをクートが教えるという工程が必要になったから、更に時間がかかったのだ。
そうして、居住島に聖なる雑草に薬草毒草、突然変異の謎の草に山菜の山が出来た。保管する場所が無かった為、新しい島、倉庫島を作ることになった。倉庫島は今は何も無い島だ。
ただ広く、大きな四角い石の箱が4個ある殺風景な島だ。素材島は居住島よりも大きく作っており、中央には他の島と同じく泉と『聖界』を。
そしてその泉が十字に島を4つ目に分けてあり、その分けられた箇所毎に箱があるという仕組みだ。
それぞれに何を入れるかは、暫定的に鉱物素材、魔物素材、植物素材、その他で分類している。更にその中で小分けにしていたりする。
鉱物素材には金銀等の鉱物。
サファイア、ダイヤモンド等の宝石。
今はミスリルしか無いが幻想鉱物。
魔物素材にはそれぞれの魔物毎に仕分ける事にする。ただしオークは食べるしゴブリンは耳以外はサンリアの餌だから、今はまだゴレイチの持ってきたリザード、マッドフロッグ、エアリアルの素材の3つしか無い。今後に期待。
植物素材には薬草毒草等の薬系植物。
アップリンやジャガー、キャロー、ダイコン、それに山菜等を含めた食料植物。
ヘルドツリーやペッパーツリー等の幻想木材。
その他には自分で産み出した布や武器等を保管する。冒険に必要になりそうな薬やポーションなんかも此処に置くつもりだ。
これで居住島の倉庫が空いたから、中は適当に改造する予定だ。それよりも今は、刈り取った草の『解析』だ。
普通の薬草、毒草、極白聖草は置いておいて、『聖界』の中に入っていた毒草と色の変わった毒草。円形の範囲で毒草が枯れていたその中心に生えていた毒草。薬草と毒草の交差地点で生えていた謎の草。これらを『解析』する。
無毒草…聖なる力を受け、毒成分が中和された毒草。如何なる毒も中和する中和薬の素材となる。
これ自体にも中和成分を含んでいる。
聖毒草…白に紫の斑点を持つ聖なる毒草。
本来は毒を無力化するという天敵のような効果を持つ力を受け、聖なる毒草という矛盾を乗り越えた毒草。
聖毒という毒を持ち、これを受けた者はジワジワと蝕まれるように身体が回復する。
猛毒草…通常の毒草よりも濃い紫色を持つ毒草。通常よりも大きく栄養を受け取る性質を持ち、周囲に地面の栄養に、周りに生える他の毒草の栄養さえも吸い取った結果、通常の毒草よりも高い毒性を手に入れた毒草。
猛毒を持ち、口に入れた者は30分以内に死に至る。
薬毒草…薬草と毒草が交配して産まれた毒草。見た目は普通の薬草と同じだが、薬毒という凶悪な毒の成分を持っている。薬毒とは、摂取した場合、一時は普通に回復したように見えるが、後から毒の効果が現れるという毒である。
見た目は普通の薬草であるため間違える者が後を絶たない。
毒としての効果は通常の毒草よりも低め。
「………いや基本全部毒草じゃん!無毒草は普通に使えるけど、聖毒草の蝕むように回復ってなんだよ!毒草の説明じゃないだろ!あと猛毒草は普通に怖いし、薬毒草に関しては確実に犯罪に使えそうな代物!!」
「大丈夫ですか?」
「まぁ、落ち着いた。あんまり外には出せないけどいつか何かに役立つかもしれないからな。
うん、こうして納得しよう。よし!ゴレイチ!今日はオーク肉食べるぞ!」
「は、はい!分かりました!」
「サンリアも一緒に食べような?」
ザワッザワッ。
こうして突発的に異界内での肉パーティが始まったのだった。
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