第96話 第3層テストプレイ-交戦規程-

ジャイアント・トード、キミたちの奮戦を私は忘れない。


結果として、ジャイアント・トード5体1集団スタックの撃退に、2手番ターンを要した。

私は無事、水着に着替えることができた。


「チィィ!」

痴女ラーラ・マズールが舌打ちしているので、覗かれた心配はないようである。


「それでは、遅ればせながら、今回の交戦規定を発表します」

諸々もろもろ準備が整ったところで、私は宣言する。


「……と言っても、この第3層『湖底神殿』自体が制限の多い構成となっております」

湖上においては、潮流による移動制限。

湖底においては、魔術師メイジ系呪文と僧侶プリースト系呪文の禁止。

流石に適性LEVELオーバーの一党パーティといえど、過度な縛りは無用だろう。


「ですので、今回の主な交戦規程レギュレーションとしては、各呪文の使用を第4位階まで、とさせていただきます」

浮遊リトルフロートの呪文も使って良いのか?」

第3層『湖底神殿』の湖面を見やりながら、ロベルタ狂王女殿下が言う。


湖岸には小舟が容易されているが、潮流が激しく任意に操船することはできない仕様となっている。

実質、特定の潮流に任せた一方通行なのだ。


しかし、浮遊リトルフロートの呪文を使えば、話は別となる。

それらの仕掛けギミックを無視して自由に移動することができる。


「もちろん。そこは一党筆頭パーティリーダーにお任せします」

仕掛けギミックを利用するか、浮遊リトルフロートで自由に探索するかは、冒険者次第。


そしてどちらを選んでも問題ない迷宮設計を、魔王ダーナ・ウェルは作って見せた。


「あ! ひょっとして褒めてくれてる?」

「褒めてません」

「イチャつくでない!」

「イチャついてません」

「ませ~ん」


私が迷宮に想いを寄せるとなぜか反応する魔王ダーナ・ウェル。

褒めている訳ではありません。

良く出来ているなと感じているだけです。


そして、ロベルタ狂王女殿下。

決して、私と魔王様はイチャついている訳ではありません。

私は常に職場の人間との適切な距離を心がけております。


「ともかく交戦規程レギュレーションは、各呪文の使用を第4位階までで、あとは自由に行動していただいて構いません」

話が逸れたので、再度、交戦規程レギュレーションを説明する。


「ああ、それから私『スペクトの死亡』という敗北条件は今回も踏襲しております」

「毎回それが一番難度の高い縛りプレイなのですが……」

とはクヴィラ侍女長の言。


心外な。

こう見えても、第3層の敵の攻撃を一発くらいなら耐えられるくらい鍛えているのに……。


「縛りプレイ……縛りプレイか……」

そこの痴女ラーラ・マズールは不穏な言動を控えてください。


貴女は痴女属性というだけで、もうお腹いっぱいです。

変態属性まで付加しないでください。


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