閑話休題 甘党の男

 爆発事故が起きた後日、解呪師の詰所(正式名称は拠点室)にて

 セナとビョルン、菓子折りを手に研究棟へ。

 今日は、この間の魔法陣爆発事故で助けられたお礼に、解呪師チームに挨拶にきた。


 セナ「こ……こわい……ダミアンいないかな?」

 ビョルン「お前、ダミアンにビビりすぎ」

 セナ「だって。前にめちゃくちゃダミアンに怒られてるし、ダミアン今でも私のこと嫌いだし……」

 ビョルン「でも助けてもらったんだろーが。お礼はしないと。俺もいるからさ」

 セナ「うん……」


 セナの手に、汗が滲む。紙箱に手の跡がくっきりと残るほどだった。

 そして、不安そうに詰所のドアをノックし、返事ののち入室した。


 マルコ「おつかれさまでーす。あ、セナさんビョルンさん!爆発の件、無事でよかったっすね〜」

 ジャン「お!ビョルンとセナか!怪我がかるくてよかった!」

 セナ「マルコさん、ジャンさんこんにちは。……ダミアンは?」

 マルコ「クレヴァンス主任は出かけてますよ。用事ですか?」

 セナ「あっ……いえ、今日はお礼に来たんです。」


 手には量が多いクッキーの詰め合わせがあった。ビョルンと一緒に選んだとのことだ。

 セナ「ほんと、皆さんありがとうございます。これ、たいしたものじゃないけど…皆さんで食べてください」


 ビョルン「いやぁ、本当にありがとうございました。ジャンさん、俺運ぶの重たくなかったです?」

 ジャン「これが俺たちの仕事だからな!気にしないでくれよ」

 マルコ「うれしいです。俺たちみんな甘いの好きなんで」

 セナ「そうなの?よかったー!」


 セナが、何かに気づいた。いや、閃いてしまった。というべきか。


 セナ「……えっ?て事はダミアンも?」

 マルコ「クレヴァンス主任は甘党っすよ〜」

 ジャン「おいおい言ったのかよ!知らねーからな」

 マルコ「秘匿情報じゃないからいいかなって」

 ジャン「確かにな。主任、甘いのしか食べてないもんな。隠してるつもりなんだよ、あれでも」


 マルコとジャンが、ニヤニヤと笑う。完全に悪い顔をしている。普段、厳しく怒られているから、その仕返しかもしれない。


 セナ「そうだったんだ……なんか、意外かも……」

 ビョルン「甘党……いや、意外に食べてそう……かも」


 * * *


 ダミアン「……何か背中に悪寒が……呪詛攻撃か?」

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