少子化により、文系の理科の選択科目が物理と化学どちらか一つになる事になり。 双方の生き残り大作戦。 勿論、エッチな場面もあるよ。

霜花 桔梗

第1話 プレゼンの第一回目

 さて、新学期だ。


 私の名前は『東都 一太郎』


 昨年度、生徒会副会長に当選してから初仕事である。校舎、三階のオンボロ生徒会室に行くと長い髪に少し茶髪を入れたセーラー服の女子が居る。


「君が新しい副会長ね、私は会長の『千羽鶴 友美』です」


 この人か……幽霊会長なのは。決して幽霊部員ではなく本当に十年前に死んでいる幽霊なのだ。それが証拠に今の女子の制服は可愛いリボンにチョコレート色のブレザーの制服である。少子化の為にセーラー服から新たに、今の制服になったのだ。そう、彼女は死んでいるのである。また、その手腕から死んでも生徒会長の役目をはたしている。


「あ、これから、よろしくお願いします」

「うむ、挨拶ができてよろしい」


 多少、偉そうであるがこれでもかなりの年上だ、ここは大人の対応をしよう。


「では、初仕事だ、今、私がバニーガールの姿になる、それをスマホで撮影して投稿するミッションだ」


 はぃ?


 すると、友美はセーラー服を脱ぎ始める。大きめのバストがブラ越しに見える。これは不味いと思うと、あわわわ、更に下に手をかけて脱ぎ始める。


 私は急いで生徒会室から出る事にした。なんだ、この空気は……。


 まるで逃げ出した私の方が悪いかの気分だ。渋々、わたしは数分後に再び室内に入ると。


 たわわな胸に大きなヒップの赤バニーガール姿の友美が立っていた。その姿は長身にハイヒールで更に目立ち、私の心は大きく動くのであった。


「ささ、撮影開始だ」


 かなりのセクシーバニーガールだ。これなら、かなりのヒット数が望めるな。


「えへへへへ、この気分最高」


 いや、純粋に目立ちたいだけか。などと、思いながらスマホのカメラを友美に向けるのであった。


 撮影会が終わり、友美はスマホで自分の画像をアップしていると。


 生徒会室に教頭先生が入ってくる。


「おう、千羽鶴君、今年も頼むよ」

「えへへへへ、今年も生徒会長だ」


 友美が照れていると教頭先生が難しい顔をして咳払いをする。


「それで、何の用です?」


 友美は赤のバニーガール姿で真剣な顔つきになる。私は、そんな、友美を見て、やはり、使える人材だと改めて思うのであった。


「他でもない、生徒会の意見を聞きたくてね」

「意見?」


 私が真剣な教頭先生に思わす言葉を出してしまう。


「そうだ、意見だ。実は来年度、文系選択科目を減らす事になってね、物理と化学どちらを減らすか決めかねているのだよ。そこで生徒会に意見を聞きたくてね」


 それから一週間。その後は会議、会議、と、続き。結果、残す科目は文化祭で多くのお客を集めた方が残る事になった。そこで、生徒会としての役割は文化祭に出す企画を審査する事になった。この高校での文化祭は龍々祭と呼ばれてかなりの伝統ある祭りだ。そこに物理と化学の同好会が企画した出し物を観てくれた人が多い方が勝ちとなった。


 早速、物理同好会が物理実験室に招待してくれた。


「どうです、この振り子は……」


 吊るされた鉄球が行ったり来たりしている。説明してくれたのは物理先生の『駿河城 信美』先生だ、和服の日本人形の様な容姿だ。


「確かに、シンプルで良いわね、で、位置エネルギーは重力に関係している。では、運動エネルギーは何を元にしているの?」


 友美が駿河城先生に質問をする。


「え?あ?う?……。」


 私の少ない知識からして高校の物理の質問ではないらしい。


「説明できないなら振り子はボツ!」


 友美が駿河城先生に厳しく言うと。


「なら、シュレディンガーの猫はどうですか?」


 あ!知っている。猫を虐待する謎の実験だ。私が関心していると。


「あーダメダメ、今は動物愛護の時代だし、放射性物質なんて何処で手に入れるの?大体、放射性物質が核分裂して放射線を出してそれがガイガーカウンターで捕らえて毒の瓶を割るのが確率的で猫の生死も確率的だと言いたいだけでしょ。それでいて箱を開けて観察すれば猫の生死がわかるとか難し過ぎ。ま、アインシュタインも『神様はサイコロを振らない』と間違った事を言うくらいだから、そこら辺の説明ができるといいわね」


 いや、友美の知識が難し過ぎである。


 などと思っていると。駿河城先生はしょげてしまう。


 まだ、時間はある。一回目のプレゼンはこんなモノだろう。


 次は化学同好会のプレゼンに行く事にした。


 そして、化学室に着くとそこに居たのは『スミス 薫子』先生であった。スミス先生はカナダ人のクオーターで白衣が似合う西洋美人である。


「ようこそ、化学実験室に、早速、プレゼンの始まりです」


 すると、スミス先生はパソコンを動かしてスクリーンに映像を映す。


『まるいち、大量の金属ナトリウムと水との反応観察』


 その映像に友美がかぶりつく。


「アホか、爆発するわ、ナトリウムはアルカリ金属の中でも反応性が高いぞ」


 うむ、ナトリウムと言えば塩だが金属ナトリウムが危険なのは何となく解る。


「えええ、次です」


『まるに、青酸カリは本当にアーモンド臭がするのか体験』


「ドアホウ、コ〇ン君の観過ぎだ、昔ならともかく、今は青酸カリなど手に入らないわ」

 

 確かに、コナ〇君の知識はかなり偏っている気がする。と、言う事でこれもボツ。


『まるさん、ニトログリセリンの合成実験』


「もいいわ!思いっきりダイナマイトの材料だろ!」


 これも爆発系か……パンチ力はあるが危険なのは不味い。ここでプレゼン終了である。


 しかし、スミス先生はかなり風変りな人物像がわかった。ま、そう言うのが好きで化学の先生になったのだろうが。


 さて、小腹が空いたし生徒会室でお茶でも飲むか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る