天才美人三姉妹の家に居候することになった。彼女達が甘えたがりであることを、俺だけが知っている。

秋月月日

プロローグ

「むにゃむにゃ……」


 目を覚ますと、俺の視界を美少女の寝顔が埋め尽くしていた。


「なんっ……!?」


 思わず飛び上がってしまいそうになるが、何故か体が全く動かない。視線を下げると、俺の体は彼女によってガッチリとホールドされてしまっていた。

 隙間を全て埋めようとするかのようなベアハッグ。足も絡められているし、彼女の豊満な胸部が俺の胸板に押し付けられていていろんな意味で理性が危ない。


「ふ、二葉ふたば、二葉!」

「んぅ……? りくぅ……?」


 俺の悲痛の声を受け、美少女の瞼がゆっくりと開く。

 彼女はぽやぽやした表情のまま、俺の目を真っ直ぐ見つめる。


「理来……どうして、私の部屋で寝てるの……?」

「それはこっちのセリフだ! ここ、俺の部屋! 君、侵入者! アンダスタン!?」

「んー……多分、夜中にトイレに行って、その後間違ってここに来ちゃったのかも……」


 なるほど。つまりは寝ぼけていたが故の過ちだったという事か。良かった良かった。……いや別に一ミリも良くはないが。


「とりあえず、離してくれないか? そろそろ朝飯の準備をしないといけないからさ」

「んー……このまま、二度寝しちゃお……?」

「二葉さん!? 駄目ですよあなた、そんな瞼を閉じようとしちゃ! ほら目を開いて! 意識を覚醒させて!」

「むにゃむにゃ……もう食べられないよぉ……」

「こんな時にそんなベタな寝言を……!」


 まずい。これは非常にまずい。何としてでも二葉を引きはがして、このベッドからの脱出を図らなければ。彼女の柔らかな体が密着しているせいで、時間が経てば経つほどに理性の耐久値がガリガリ削れていく!


「んぅ……理来の身体、あったかい……」

「ねえお願い二葉! 年頃の男の子にこの試練は酷なんだって! それに朝飯の用意以前の問題で、あんまりゆっくりしてると学校にも遅れちまうし――」

「理来、うるさい」

「んぶっ!?」


 二葉が俺の顔を自分の胸にうずめさせた。

 顔いっぱいに広がる柔らかさと、鼻孔いっぱいに広がる花のような香り、

 ああ、駄目だこれ。最近疲れ気味だったから、意識が持っていかれて――


 ――ガチャッ。


「理来? いつまで寝てるの? いつも早起きのあなたが寝坊だなんて珍しい、わ……ね……?」

「センパーイ。今日はあたしの好きなパンケーキを焼いてくれる約束してましたよね……って」


 美少女が二人入室してきたかと思ったら、その場で瞬時に凍り付いた。

 俺には分かる。

 今まさに、俺の人生が終わろうとしているということが。


「…………」

「…………」

「むぐっ……むぐぐっ……」

「すやすや……」


 なんとか弁明しようとするが、二葉の胸に顔面を潰されているせいでくぐもった呻き声しか上げることができない。というか、さっきから酸素が吸えなくて視界の端でチカチカと光が走り始めているのだが、そろそろ脱出しないともしかしてヤバイ?


 そうこうしている内に、二人の美少女――二葉の姉と妹が彼女を引きはがしにかかった。


「こら、二葉! 理来を抱き枕にするなんて羨ま――じゃなくって! いつまで寝てるの? 学校に遅れるから早く起きなさい!」

「センパイに一人だけ甘えるなんてずるいよ二姉ふたねえ! あたしにもセンパイを抱かせろー!」

「むにゃむにゃ……理来は渡さない……」

「「起きろー!」」


 三人の美少女に身体をがっくんがっくん揺らされながら、俺は死んだ目で天井を見上げる。

 どうしてこんな幸せな目に遭っているのか、それまでの経緯を思い出しながら――



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第1話は12時09分に更新予定です


【あとがき】

読んでいただきありがとうございます!

得意分野のハーレムラブコメの連載を始めさせていただきました。


もし「話が面白い!」「ヒロイン可愛い!」と思っていただけましたら

作品のフォローや、☆評価、いいねなどしていただけるととても嬉しいです。


モチベーションが爆上がりになります!


まだまだ続きますので、引き続き本作をどうぞよろしくお願いします!

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