第16話俺はどうなるんだ。

俺は真っ白い部屋で目隠しをはずされた。


辺りを見回すが、状況を理解できない。

頭を動かすと、

ズキッ

後頭部から、首の後ろにかけて痛みが走る。


「いってぇ。」


頭を押さえたいが、両手首を縛られていて動かす事ができない。


「なんなんだよ。これ・・・・」


俺は、ここまでの事を思い出した。

バイトが終わって、紋、巳月、麗と別れた後、俺の前にワンボックスカーが止まって、俺はそのワンボックスカーを通りすぎたら、後ろからイキナリ羽交い締めにされて、なんとか振り切って、一発殴ってやろうかと思って、振り返ったら、今度は後頭部を何かで殴られて、そのまま目隠しをされて、手首を押さえつけられて、それでも暴れて抵抗したけど、スタンガンみたいな物を当てられて、俺は気を失った。


「おい!おい!誰かいるか!ここから出せバカヤロー!」


手首は縛られてるが、足は動く、思いっきりドアを蹴ったり、体当たりして開けようとするが開かない。


「開けろよ!バカヤロー!開けね―とぶっ殺すぞ!」


俺は体中から声を振り絞って叫んだ。


くっそー!マジで意味わかんねえ!

なんなんだよ一体!

なんで俺は拉致られてんだよ!

親への恨みか?

俺とケンカしたやつか?

まあまあ心当たりがあって、どれだかわかんねえ!


「おい!誰だかわかんねえけど、とにかく顔見せて誰だか言え!じゃねえと、全く意味わかんねえ!」


しばらくすると

カチャッ


ドアが開いて50代くらいのオバサンが入ってきた。

なんだ?母さんの知り合いか?


「少しは黙りなさい。

思ったより品の無い子ね。」


あ?

なんだこのババア。


「あなたが悪いのよ。うちの子がいるのに、他の女と付き合ったりして、二股かけるなんて許さない。」


なに言ってんだ、このババア?

二股?

意味わかんねえ。

俺はとっくに、えみかさんと別れてるし。


「おいババア!訳のわかんねぇ事言ってねぇで、さっさとこの手首の取って、帰してくれよ!」


ババアは俺を睨んだ。


「だめよ。全然反省してないじゃない。反省して、あの女と別れて、うちの子のとこに戻るまで、あなたを自由にするわけにはいかない。」


そう言うとババアは部屋から出て行った。


「おい!おい待て!ババア!」


まじか・・・


俺、完全に誰かと勘違いされて拉致られてるじゃん。

どうしよう。

俺はポケットから、スマホが出てるのに気づいた。

誰かに連絡とらないと、どうやって・・・


俺はポケットから半分だけ出てるスマホを、なんとか全然だして床に落とそうて、体をよじる。

あと少し・・・

もうちょっと・・・


カタン・・・


よし!!

床に落ちたスマホを近くにたぐり寄せる。だけど。どうやってスマホを操作しよう。


後ろで縛られた手をスマホに持って行くが、拾う事ができない。

こういう時、ドラマとかだとカッターとか見つけて、なんとか紐を切ったりするけど・・・そんなもん落ちてやしないし。


つか、ヤベェ。

トイレ行きたくなってきた。


「おい、誰か!便所行きてえんだ!開けてくれ!おい!漏らすぞ!いいのか!?漏らしたらお前らが掃除すんだぞ!」


ガチャ


今度は30代くらいの男が入ってきた。


男は黙って俺の手首を解き、トイレに案内してくれた。

意外にすんなりいったな・・・

ここはマンションの上層階の1室みたいだ。

トイレの外にで男が見張ってる。

俺は手首を解いてもらった後、一瞬の隙をついてスマホをポケットにしまった。

紋にラインを送る。

気づいてくれ。

でも、ここの場所をどうやって知らせたらいいんだ。


「おい、まだか。」

「うるせーな!長時間分溜まってんだよ!黙ってまってろ!」


どうやって場所を知らせたらいいんだ。


「おい、まだか。」


ジャー


「うるせーな今でるよ。」

「お前、ほんとイメージと違うな。芸能人はみんなこうなのか。」

「はあ?だから何だよ。なんの事言ってんだよ。」


ガチャガチャ

俺はまた一室に閉じ込められた。

まあいい。

手足が自由になったから、だいぶラクだ。

俺は続きをラインした。

だけど・・・

一体誰と間違えてるんだ。

彼女とか、二股とか・・・芸能人とか言ってたぞ。芸能人・・・?

まさか、あのコンビニに来たヤツ?


カチャ


ドアが開くと、今度は見た事ない若い女が入ってきた。

メチャメチャかわいい。

なんだ、このアイドルみたいな可愛い女は。


「やっと戻ってきてくれたね。あたしのもとに。」


女は俺の前に座る。


「これで、ずっと一緒ね。」


女は、俺にキスをした。


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