31.禍転じて福となす

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 物部満百合(まゆり)・・・物部一朗太と栞(しおり)の娘。

 久保田健太郎・・・久保田誠とあつこの息子。

 大文字おさむ・・・大文字伝子と学の息子。

 福本めぐみ・・・福本英二と祥子の娘。

 依田悦子・・・依田俊介と慶子の娘。

 服部千香乃(ちかの)・・・服部源一郎とコウの娘。

 南原未玖(みく)・・・南原龍之介と文子(ふみこ)の娘。

 山城みどり・・・山城順と蘭の娘。

 愛宕悦司・・・愛宕寛治とみちるの息子。


 愛宕寛治・・・悦司の父。警視庁警部。

 久保田あつこ・・・警視庁警視正。健太郎の母。

 久保田誠・・・警視庁警部補。健太郎の父。

 草薙あきら・・・元ホワイトハッカーで警視庁からEITOに出向していた職員だったが、今はアマチュア発明家をしている。


 鈴木栄太・・・小学校校長。

 根岸淳・・・副校長。

 藤堂所縁(ゆかり)・・・健太郎の担任。ミラクル9の顧問。


 池上葉子・・・池上病院院長。おさむの父学の後輩彰の母。

 辰巳一郎・・・喫茶店アテロゴのウエイター。


 ==============================

 ==ミラクル9とは、大文字伝子達の子供達が作った、サークルのことである。==

 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==


 午前8時半。小学校。校庭。朝礼。

 副校長が、演壇の上に立っている。

「皆さんに、お知らせがあります。校長先生は、昨夜お風呂場で転んで怪我をされました。数日間は、私が校長の代理を行います。命には別状ありません。怪我の治療と検査の為に入院されています。」

 校舎に向かう途中、健太郎が代表して、副校長に尋ねた。

「副校長先生。校長先生のお見舞いに行きたいんですけど・・・。」

「いいよ。但し、放課後だ。ミラクル9の顧問は藤堂先生だったかな?」

 横から、藤堂は言った。

「副校長先生。私が責任持って引率します。」「よろしくね。後で、報告してください。」

「承知しました。」

 午後4時。池上病院。鈴木校長の病室。

「不可抗力だよね、校長先生。」と、健太郎が訳知り顔出言うと、「ブー!!残念だけど、ちょっと違うよ、久保田君。藤堂先生。」

「不可抗力(ふかこうりょく)とは、天災地変や戦争、暴動などのように、人の力ではどうすることもできない外部からの巨大な力を指すの。予測出来ないこと全般ではないの。予測出来ないことの場合は、『想定外』ね。」

「ブー!!洗い場、汚れてたんだ。想定内だ。ヌルヌルした床は、いつかは滑るさ。」

「じゃあ、みんなで校長先生のお風呂場とか、オウチ、掃除してあげようよ。明日、土曜日だし。」と、未玖が提案した。

「賛成!!ねえ、藤堂先生が一緒なら、オウチに上がれるよね。」と、悦子が言った。

「もう、決めてるのかよ、気が早いな。」と、悦司が感心して言うと、皆は笑った。

 翌日。午後2時半。鈴木家。

 鍵を預かった藤堂が玄関を開けて、皆と入った。

 おさむが作った割り当て表に沿って、家の内外に掃除が行き届いた。

 午後5時。

 皆が帰ろうとすると、ライトバンが表に止まって、辰巳が顔をだした。

「これ、マスターから差し入れ。店混んでて、遅くなって御免。これ食べても夕飯食べれるよね。」

 差し入れは、サンドイッチだった。

「満百合、ありがとう。」と、おさむが言うと、「え?何?」と満百合が不思議そうに言った。

「満百合が頼んだんだろ?ありがとね。」と、おさむが笑顔で言った。

 翌々日の月曜日。小学校、校庭。

 演壇の鈴木校長は、三角巾を釣っていたが、いつもの明るい挨拶をした。

 健太郎は、さっき、藤堂に言われた言葉を思い出した。

「バイト代は、卒業までツケにしておいてくれって。」

 ―完―



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