不穏な王都編

離宮で悠々自適な妊婦ライフ






王都へと帰った私たちはおじ様(王様)に旅での出来事を報告した後、私の部屋に行こうとした。


すると久しぶりに会ったのミミちゃんから驚くべき言葉を言われたのだ。




「疫病の旅の報酬と妊娠したお祝いの為に王様から優里様へ離宮を頂きましたのでそちらに今日から移ってもらう事になっています」




(…そうかぁ~離宮かぁ~…離宮!?)



久しぶりに会ったミミちゃんの可愛らしさにほのぼのしながら話を聞いていた私は突然の離宮話に驚き息を呑んだ。


ミミちゃんは私に会えた事が嬉しいのか、相変わらず頬を蒸気させながら私に話しかけてくるのだが…離宮の話が気になって返事もろくに出来ないでいた。



私を先導するように歩くミミちゃん。


その後ろに私とレイとヴェル、その後ろに旦那様候補としてティル、その後ろには産婆さんとしてリュカが歩いている。


ティルは教会にいるといっていたのだが、旦那様候補なので私のそばにいるのだ。


リュカは私の専属の産婆として妊娠中のサポートや、出産のサポートをしてくれるためにずっとそばにいてくれることとなった。


ちなみに膜守りはどうしようかとそんだんした際には『私が膜守りごとき出来ないわけがないでしょう!?あんたは安心してスポーンと産んじゃいなさいな!』と、言われたのでリュカに膜守りまでしてもらう事に。



(リュカ…有能すぎる。私の友達レーダーには狂いはなかった!)



そんなこんなで旅に出るときは夫二人と三人だけだったのが、今じゃ二人増えて五人なのだ。


前の部屋は三人だとちょうどよかったけど五人だと狭いので、正直離宮をもらえるという話は嬉しい事だ。


どうやらおじ様は定期的に私たちの旅の様子を使いのものから聞いていたらしく、人数が増えたことを聞いた事で報酬は離宮にしようと私達が旅の間に建ててくれたらしい。



(おじ様…福利厚生が手厚すぎて気後れしそうです…)




「優里様!ここです!」




ミミちゃんが嬉しそうに両手を大きく広げて私たちに満面の笑みを見せてくれている。


いつもならばミミちゃんの笑顔が可愛すぎるとニヤニヤする私の顔は…表情を消していた。


なぜならば、そこにあったのは王城よりかはこじんまりしているが…完全にお城だったからだ。


私の左右にいる夫達も唖然として離宮を見ている。


ティルは興奮して『すげー!カッコイイ!俺ここに住むの!?やべー!』と叫んでいるし、リュカは『あんた…凄いもの貰ったわね…』と呆れた顔をされた。



こんなに豪華な城もどきを貰った私の心はざわついていた。


確かに疫病の旅は大変だった、妊娠もした、けれど今回のこの二つだけでおじ様から褒美としてこの離宮をもらうのは貰いすぎじゃないかと。




「あんた、こんなにしてもらう謂れはないって顔してるわね?」


「え?リュカって心まで読めるの?」


「読めないわよ!私のことなんだと思ってんのよ!」


「…万能神官?」


「…万能ではないけれど、ありがとう?」


「リュカが照れてるー!」


「あんた馬鹿じゃないの!?」




そんな会話をした後にリュカから言われた『旅の報酬とこれから生まれる子供たちの為に建ててくれたんだから、これからバンバン産みなさいよ?私も神殿よりここにいる方が…いや、なんでもないわよ!』この言葉で、なんだか少し納得する事ができたので、やっぱりリュカはすごいと思ったよ。




今日からこの聖女宮で悠々自適な妊婦ライフだ!




そう思っている私の事を見てる視線が二つあることに私は気づいていなかった。


一つは私たちの中に。もう一つはわたし達を少し遠くから憎々しげに見ていた。

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