雑談
「今日は色々とありましたね」
「そうだね……」
死んだ2人の姿が脳裏に浮かぶ
迷わなければ覚悟があれば助けられたと
頭に自責の言葉が浮かぶ
「彼らが亡くなったのは貴女のせいじゃないですよ。彼らは頑張りましたですが及ばなかったんです」
「いや、僕のせいだ。僕が……」
「人には秘密がある物です。それがどんな秘密でもそれには理由があります。ゼラさんのその理由は重要な事なんでしょう」
夢はゼラをフォローする
「そんなんじゃ……」
「むしろゼラさんが居たから2名で済んだんです。戦いは多くの人が死にます。戦いというのはそういう物なんですよ。人が死ぬのを見るのは嫌ですし慣れません。でも私達はそれでも戦い続けているんです誰かを守る為に自分の為に、ゼラさんは前線に出て多くの人を救っています」
「……そう言って貰えると少しは気が楽になる」
「私はポジティブなので」
「そうだね、あぁそうだ夢には凄い助けられたよ。あの異能強いね、氷を生み出して飛ばす異能?」
「正確には少し違うんですが大体そうですね。数を出せるだけで礫に関してはそんなに強くないですが」
氷を作り出す異能、氷の礫や氷柱は作る際に夢が形を調整している
その為今回使った氷の礫は尖り当たった魔物の身体を抉る形をしていた
氷の礫の形は自由自在
「あの大群には3級相当の魔物も混じってた。それらを倒せるんだから強いよ。傷を負わせるだけでも動きは鈍るから前衛やってた時凄い助かったし」
「そ、そうですか?」
夢はゼラに言われて嬉しそうに笑みを浮かべる
「守護隊の大盾持ってた男性も褒めてたよ。彼女が居るから持ち堪えられているって」
「まさか、精鋭揃いと噂の守護隊の副隊長にも褒められるとは感動です。って私よりゼラさんの方が凄いですよ。なんですあの刀捌き、魔物を次々と切り裂いていたじゃないですか」
「ちょっと前衛も何度かした事あってね」
「本当に凄かったです。バッサリバッサリ魔物を倒していく姿、凄くカッコよかったです」
「そうかな」
「はい!」
前のめりに即答する
ゼラは手品の腕や戦闘で褒められる事はあったがここまで真っ直ぐに褒められるのは余りなく恥ずかしさが勝つ
「そう言えば1つ聞きたい事がありまして」
「何?」
「仮面はなぜ付けているんですか? 結構多い質問だと思いますが」
「あぁ、仮面はまぁ素顔隠して活動してるから身バレ防止の為にかな」
(他にも理由はあるけど)
ゼラの仮面の下の素顔を誰も知らない
徹底した身バレ防止の結果素顔で外に出ても一切バレない
「成程身バレ防止、確かに手品師もやって異能騎士もやってるゼラさんは有名人ですからね。身バレすると大変そう」
「面倒事にならない為にも仮面は役に立つんだよね」
「仮面って暑くないですか?」
「それは勿論、めちゃくちゃ暑い……夏とか死にそうになる」
「ですよね」
「まぁもう慣れたけどね」
「仮面と言えば元々騎士団長とグループ組んで活動していた恋歌さんともう1人の女性と別のグループですがもう1人同時期に活動していた男性が付けてたらしいですね」
(もしかして)
写真立てで見た女性と男性を思い出す
大災厄で戦死した2人
「その男性は騎士団長の知り合い?」
「はい、鶏って名前で活動していた炎の異能者です。かなり強い異能者だったらしいです。女性の方は活動名鈴、話によると分身の異能を使っていたとか」
「鶏って……」
「好きな食べ物から付けた名前らしいですよ」
「にしても」
(鶏肉が好きだったのかな)
「それとその頃に仮面を付ける事が流行ったらしいですよ」
「それはどう言う流行りなのさ……」
「まぁ仮面つけると見づらいからすぐにその流行は廃れたとか」
「しっかりした奴じゃないと仮面は邪魔だからね」
「見づらそうですしね。ゼラさんの使ってるその仮面はオーダーメイドですか?」
「そうだよ。腕利きの職人に作って貰った。ちなみにダンジョンの鉱石や素材を素材にしてるから頑丈」
ダンジョンから入手された鉱石や魔物が稀に落とす素材の加工技術は年々上がっている
騎士団が使っている武器や防具もそれらを使って作られている
「それは凄い高そうですね」
「幾らだったかな? 1つ数十万?」
「高っ……いですね」
「その分長持ちするし戦闘時に顔を守ってくれるから」
「それは便利ですね。あっ、私の家はこっちなので」
「そうなんだ、それじゃお疲れ様、しっかりと休んでね」
「はい! ゼラさんもお疲れ様でした」
別れの言葉を交わしてそれぞれ家に帰る
ゼラは家に帰り仮面を外す
「身バレ防止……まぁそうだね。ゼラは仮面の手品師にして異能騎士、ゼラは人を笑わせ人を守るその為の存在、その姿を保つには正体は隠し切らないと行けない」
家には複数の仮面が掛けられている
全て同じ仮面、破損しても取り替えれるように複数作って貰っている
「今日は疲れたな。今日は寝よう」
ベットに入り眠りにつく
夢も家に着く
家の中に入り電気を付ける
「……覚えていない? いや、気付いていない? どちらにしろ流石に想定外の出来事、困った」
机の上にある一枚の写真を見て優しく触れる
数年前の写真、夢にとって大事な写真
「……いや、まだ時間はある、焦ったらダメだ。必ずやらなきゃならない失敗は許されない。次は彼女に接触しないと行けないけどさて、どうするかな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます