作戦開始

全員が持ち場に着いた


「あれか」


1体他の魔物に比べてかなり大きな魔物が居る

3mはある魔物、人型に近く黒いモヤが少なく姿形がはっきりとしている

大きな斧を持っている

(等級高いな)

必ずしもそうとは限らないが基本的に黒いモヤが薄いほど強い魔物

姿形がはっきりしている魔物なら等級が高いと考えられる

(4……いや3も有り得るな)


「さて、仕事の時間だ」


異能で複数の剣を生み出す


「戦闘開始!」


指揮官が叫び突っ込む

雄叫びを上げ騎士達がその後を追う

魔物が気付き指揮官に突っ込む

指揮官は身体強化の異能を持つ異能騎士

大剣を振るい魔物を次々と切り裂いていく


「指揮官に続け!」


次々と魔物と騎士が衝突する


「おぉぉぉ!」


剣を持った騎士が魔物に攻撃を仕掛ける

魔物が攻撃を受け止める

隣に居た騎士ががら空きな胴体に槍を突き立てる

接近していた小型の獣型の魔物の突進を食ら尻もちをつく

魔物に噛み付かれる

咄嗟に武器で噛み付きを防ぐ


「くっそ、離れろ」

「何とか耐えろ」


近くの魔物と戦っている騎士が助けようとするが魔物に阻まれる

そこに炎が飛んでくる

炎は魔物に当たり大きな火傷を負う

魔物は一度離れて唸るが突如倒れる

消滅する前に複数の切り傷が現れた事を確認する


「異能騎士の皆さんだ」


異能による攻撃が魔物に襲いかかる


「押せぇ!」

「立てるか?」


近くの騎士が手を差し伸べる

手を掴み立ち上がる


「助かる」

「行くぞ」

「あぁ」


騎士達は魔物の大群と激しい戦闘を繰り広げる

3人の異能騎士は後方で異能を使い援護する

騎士が前に出て中距離攻撃のできる異能を持つ異能騎士が後方から攻撃を放つ

基本の陣形であり最も効率的に異能を使える陣形


「数多いな」

「絶対増えてる」

「ごちゃごちゃ言ってる暇はねぇ」


複数の炎を放つ


「とっとと魔物を減らしてゼラの援護だ」

「分かっている!」

「当てないように撃つ!」


順調に数を減らしていく

中ボスクラスの魔物が騎士達に反応する

そして攻撃を仕掛けようと接近しようと足に力を入れた瞬間、真横から剣が飛んでくる

反応して斧で剣を弾く


「君の相手は僕だ」


ゼラが前に立つ

ゼラの接近に気づいた魔物が襲いかかる

自分を中心に数本の剣を回す

素早く魔物の視界の外から繰り出された一撃は襲いかかってきた魔物を両断する

異能で生み出した物を操る異能

剣を飛ばす

斧で弾き接近する

そして地面を抉りながら勢いよく切り上げる

巻き上げられた瓦礫が舞う

砂煙が晴れる前に斧を振り下ろす

大きな衝撃で地面が揺れる

避けられない一撃、魔物は仕留めたと確信する

しかし、その確信を否定するかのように砂煙を切り裂き剣が飛んでくる


「まだ終わりじゃない」


剣を生み出して飛ばす

魔物は斧で全て薙ぎ払う

(容易いか)

距離を取りながら剣を飛ばす

騎士達が戦っている方向の反対側に引き付ける

ゼラの目的は時間稼ぎ

1本の剣を飛ばして騎士達と戦っている魔物に背後から攻撃をする

斧による攻撃を避けて更に距離を取る

(力は強いが早くは無い)

剣を飛ばして注意を引く

斧だけでは足りないと考えたのか瓦礫を蹴り飛ばしてくる

剣で瓦礫を切り裂く

砂煙と瓦礫に紛れて斧を振り下ろす

ガギッン

甲高い金属音が鳴り響く

4本の剣を束ねて受け止めた

しかし、受け止めた中の2本の剣にヒビが入る

斧を戻さず押し込んでくる

(不味い)

剣をその場において距離を取る

ヒビが広がり2本の剣が砕け散る

半分の力が減り抑えきれずそのまま地面に斧が振り下ろされる

2本の剣が吹き飛ばされゼラの隣を通り過ぎて地面に突き刺さる


「4本ならギリギリ、3本以下だと無理かな」


すぐに6本の新しい剣を作り出す

2本を攻撃に回して4本を防御に回す

完全に時間稼ぎに徹する

この調子では1人では倒せないと判断する

しかし、時間稼ぎは可能と見ている

攻撃を上手く躱して剣を飛ばす

斧を振り下ろしたタイミングで剣を打ち込むが素手で掴まれて放り投げられる


「切れ味良いんだけどな」


(皮膚が硬いのか。手が特殊なのか。今のうちに解析しないと)

剣を持って突っ込む

振り下ろされた斧を4本の剣で防いでそのまま足元に突っ込む

防いでいる時間は数秒、だがその時間があれば足元に入れる

振り下ろされた斧が砂煙を巻き上げゼラの姿を隠す

そして足目掛けて剣を振るう

深く切り裂く

(足は硬くない)

すぐに1本の剣を飛ばして足に突き刺す

そして急いで距離を取る

踏み潰そうと切られた足の反対の足を上げる

剣を飛ばして足裏に突き刺すが構わず足を振り下ろす

残った剣で防御して前方に飛び転がる

コロコロ転がり少し離れた後すぐに立ち上がる


「危なかった。少し無茶をした」


(あっちの様子は?)

騎士たちの方を一瞥する

まだ魔物と激闘を繰り広げている

優勢か劣勢かはゼラ側からでは分からない

片足に大きな切り傷を負った魔物は足を引き摺って近付いてくる

かなり遅くなっている

反対の足にも剣を突き刺しているがそちらに関しては支障がないように見える


「動きが鈍った。攻めるか」


2本の剣を飛ばした後間髪入れずにもう2本飛ばす

狙いは顔面

魔物は斧で弾くが2本が顔に切り傷を付ける

(狙いがズレた……いや、風圧でズレたか)


「悪い知らせだ」


異能騎士の1人がゼラに連絡する

ゼラは返答しない

戦っている今会話をしている余裕は無い

それを理解している相手はそのままその知らせを言う


「魔物の援軍が来た。正確な数は不明、だが大群だ」


(確かに悪い知らせだ)


「戦況は」


一言だけで質問をする


「現状は優勢だが援軍も含むなら劣勢になる。騎士に疲れが見えている」


今は優勢でもどんどん体力が奪われていく

元々数の不利の状態での戦い

優勢で士気が保っているがもし騎士達が魔物の数が増えると知れば士気が下がるのは免れないだろう

士気が下がれば怖気付く者も出てくる


「僕が倒すしかないか」


目の前の大きな魔物を見る

士気を下げない、むしろあげる方法が1つある

それは単独で中ボスクラスの魔物の撃破

(無理をするしかない)

覚悟を決める

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