第4話 学校の帰り
「いやー、今日も1日頑張った」
「頑張ったって体育以外ほとんど寝てたじゃん」
「いや、そうなんだけど」
俺は学校が終わり、片付けをして帰る準備をしていると彩音からのツッコミが入った。
「まぁ、細かいことは良いじゃん!彩音は今日はどこにも呼ばれてないのか?」
「うん、今日は何もないよ」
「そっか。じゃあ一緒に帰ろうぜ!」
そして俺たちは一緒に帰った。彩音は部活には入っていないが助っ人で呼ばれることが多い。身体能力が高くなんでもできるから。
祐介も同じで頼まれることが多い。あいつは断ることもあるし受けることもある。そして何で俺には誰も頼んでこないのだろうか?
「いやー、それにしても彩音はすごかったな。バスケでずっと無双してたじゃん」
「ありがとう。でも僕は応援はやめてって言ったと思うんだけど」
「それはごめん。でも結局他の応援の人には手を振ってたのに俺が応援してた時に顔を逸らしたん?」
あの時は結構心に来たぞ。ばっちり目があったのにふいっと顔を逸らされたんだからな。
「…それは」
「…もしかしてお前」
「っ……」
「朝のことまだ根に持ってる?」
「はぁー」
「悪かったって、なんか奢ってやるから機嫌直してくれよ」
「じゃあ、カズヤの家の近くにできたカフェでも奢ってよ」
「お、お前、ここぞとばかりに高いものを」
俺の近くにできたカフェはとてもお洒落で値段も結構するところだ。いつもならもっと安いところなのに、朝のことをそれほどまでに怒っているのかこいつは。
「カズヤはさっき奢ってくれるって言ったもんね?」
「……はい」
そして俺たちは近くにできたカフェに入った。やっぱりお洒落だな。中を見ると新しくできたこともあってとても綺麗だった。
「彩音は何にするんだ?」
「僕はこのコーヒーにしようかな。カズヤは?」
「俺はこの甘いカフェオレにする」
「ふふ、まだコーヒー飲めないの?」
彩音はクスッと笑う。確かに俺はブラックのコーヒーは飲めない。あんなクソ苦いの俺には無理だ。
「あー俺にはこのくらいの甘さがちょうど良い」
「そうなの?僕はこのコーヒーくらいの苦味がちょうど良いけど」
「それ、そんなに苦くないのか?」
「うん?確かにそこまでは苦くないね」
「ちょっとそれ飲んで良いか?」
「…え?」
彩音は固まっている。確かにそんなに苦くないのなら俺でも飲めるかもしれない。なんか俺もコーヒーが飲めるダンディな男になれる気がしてきた。
「お前も俺の飲んでみろよ。これ美味いぞ」
「いや…あの」
「安心しろよ、全部は飲まないから」
「……ドウゾ」
そして俺はブラックのコーヒーを受け取って、自分のカフェオレを渡した。一口だけ飲んで味わってみる。
「お前、これ全然苦いじゃねーか」
「だから、それは僕からすれば、だってば」
やっぱり俺にコーヒーは早かった。全然無理。早く甘いカフェオレが飲みたい。けれど彩音はカフェオレを見ているだけで飲んでいなかった。
「?…飲まないのか?」
「の、飲むよ」
彩音は勢いよくカフェオレを口にする。そんなに飲みたかったのか。でも頼むから俺の分は残しておいてくれ。
「どうだ?甘いだろ?」
「うん、確かに甘い」
そしてまたお互いの飲み物を飲み始める。あーやっぱり俺はこの甘さがちょうど良いな。ふと彩音を見ると白い肌がほんのり赤くなっていて、自分のコーヒーを見つめている。
「何やってるんだ?」
「なんでもない!」
彩音は自分のコーヒーを勢いよく飲んだ。コーヒーってもっとチビチビ飲む物だと思ったのにそれを一気に飲むとは恐れいるぜ。
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