第12話 殺生戒
ブンブン。ブンブン。
夏はまだ先なのに、もう蚊が飛んでいる。
蚊って、何でこんなに鬱陶しいんだろう。
油断していると、耳元でブンブン飛びやがる。
多分1匹だけだが、ずっと煩く飛び回るのを止めない。
音がしない時は、どこかに隠れて休憩していやがるんだろう。
マジで腹が立つ。
どこにいるんだろう。
そう思って探していたら、左の二の腕にとまった。
チャンス!
狙いを定めて。
バチン。
よし、潰してやった。
すっきりだ。
腕を水で洗い流すと、小さな赤いしみができている。
掻いた後かな?
よく見ると、蚊が貼りついているようにも見える。
錯覚だよね。
暫くすると、腕が痒くなった。
見ると、赤いシミが、ぽつぽつと増えている。
そのうち腕中にシミが拡がっていった。
痒くて堪らない。
それに何だか、腕が青白くなってきた。
翌朝彼は、全身の血を失った状態で発見された。
了
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