第13話 決断の夜

黒幕の指令とは裏腹に、吹雪は風間とともに、公にはされていない真実を追求する決断を固めていた。彼らが掴んだ新たな情報は、街の更なる暗部へと繋がるものだった。夜の帳が降りる中、吹雪は行動を開始する。


吹雪がこの夜選んだのは、黒幕から離れ、自らの信念に基づいて行動する道。彼女と風間は、汚職にまつわる新たな証拠を集めるため、ある政治家の事務所に潜入する計画を立てた。この政治家は、表向きには清廉潔白を装っていたが、裏では権力者たちと深く結託し、街の暗部を牛耳っていた。


慎重に事務所へと進む吹雪。彼女の動きは猫のように静かで、影と一体化しているかのようだった。風間は外で見張りを立て、万が一の事態に備える。二人の間には、無言の信頼と絆が流れていた。


事務所内部では、吹雪は巧みに警備をかわし、目的の証拠を手に入れる。しかし、その瞬間、事務所のセキュリティアラームが鳴り響き、吹雪は急いで逃走を開始する。風間の迅速な行動によって、二人はかろうじて捕捉を逃れる。


この夜の行動は、吹雪にとって新たな覚悟の証明だった。黒幕からの指令を拒否し、自らの信念に従って行動することで、彼女は自分自身との約束を果たす。しかし、その決断がもたらす影響は、吹雪自身もまだ把握しきれていない。


逃走後、二人はひと時の安息を得るために隠れ家に戻る。そこで、風間は吹雪に向かって言う。「君の勇気が、この街に変化をもたらしている。君はもう一人じゃない。我々もまた、君と共に闘っている。」


吹雪の心は、風間の言葉によって温かさを感じる。孤独な戦いだと思っていた彼女の行動が、実は多くの人々に希望を与え、支持されていたことを実感する。夜が更けていく中、吹雪は再び、街とその人々のために何ができるかを考え始める。

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