スイーツ探偵レイナの事件簿~女体化したらイケメンたちから溺愛されるようになったけど、事件は解決しちゃいます~
ケロ王
この事件の犯人は……僕?!
第1話 因習の村
僕の名前は
今日は山奥にある、とある廃村に来ていた。
何故、このような場所に来ているかと言うと、考古学者である叔父、
元々は理系だった僕は、考古学のような学問には興味がなかったのだが、育ての親でもある彼の話を聞いたり、研究の手伝いをしていくうちに、そういったことに興味を持つようになった。
僕のフィールドワークに対して、同類である叔父は「気を付けるように」とは言っても、決して禁じたりはしなかった。
今日のフィールドワークは叔父からではなく、親友の
「この村はな。山奥であることから、外界との関りはほとんどなかったらしい。だが、この村には男しか生まれないという言い伝えがあるんだ」
「何を馬鹿なことを言っているんだ? それじゃあ早晩、村が滅びるだろう?」
「そうだな、こういう話は大概、外から女を攫ってきてっていうパターンが多いんだけどな。でも、この周辺の村には、そういった話は残っていないそうなんだ」
「それならどうやって……」
「それはわからねえけどな。それを調べるのがお前の『趣味』だろう?」
「まあな。とりあえず、情報を教えてくれてありがとう。明日から3連休だし、ちょっと行ってくるわ」
「気を付けてこいよ!」
そんなやり取りを親友と交わし、僕はこの村へとやってきたのだが、廃村になってから時間がかなり経っているはずなのに、どの建物も状態が良く、古い建物ではあるものの、ボロボロという感じは全くなかった。
また、建物の中にある書類などの資料も状態が良く、当時の状況が事細かに記載されていた。
その内容によると、この村では男性しか産まれないというのもどうやら事実のようだ。
そのため、村では年に一度、
「男しか産まれないのに巫女? どういうことだ」
僕は不思議に思い、資料を読み漁っていくが、それ以上、真新しい情報はなかった。
一つ気になった点としては、男性しか産まれないはずの村の中に、明らかに女性用と思われる下着などが置かれていた。
こうして夢中になって調べていた僕は、とある民家の本棚にもたれかかった時、カチャ、という音が聞こえ、本棚が動き出した。
そこには、村にある古い建物とはことなり、近代的なコンクリートでできた地下に続く階段があった。
恐怖心を押し殺して、僕は階段を静かに降りていく。
階段の先にある扉を恐る恐る開くと、そこは近代的な設備の備わった研究室のような部屋になっていた。
そして、その部屋の中央には頭から血を流して倒れている男性がいた。
「うわぁぁぁぁ!」
恐らく死んでいるであろう彼の姿を見て、僕は思わず悲鳴を上げてしまう。
その時の僕は動転していて、ここで大声を上げることのリスクを完全に失念していた。
「あらら、見られちゃったのね」
背後から、女性の声が聞こえた直後、バチッ、という音と共に背中に激痛が走り、身体が動かなくなってしまった。
「うーん、困ったわね。まあ、折角だし聖水の実験台にでもしちゃおうか」
その女性は仰向けになった僕の上半身を持ち上げると、口を強引に開けさせて液体を流し込んできた。
手慣れているのか、痺れた僕の口に注ぎ込まれる液体は、驚くほどスムーズに胃へと流れて行った。
その直後、僕は全身を襲う激痛に、今度こそ意識を完全に失った。
♪♪♪♪♪♪♪
目が覚めると、僕は隠し階段のあった本棚の前に倒れていた。
痛みが残る体に鞭打って起き上がると、身体が重く感じた。
「んうぅ、さっきの隠し階段はいったい……? えっ?!」
僕は自分の言葉に耳を疑った。
何故なら、僕の耳に聞こえた声はまるっきり女性のものだったからだ。
慌てて僕は自分の状態を確認する。
そして、その結果に愕然とした。
何故なら僕の体は、胸こそ大きくはないものの、どこもかしこも女性のものになっていたからである。
「え? ええ?! えええぇぇぇぇ!」
確かにさっきまで僕は男性であった……たぶん。
正直なところ、自分の認識の正しさに不安を感じるが、服装は先ほどと同じなので、それだけが自分が男性であったことの証明であるかのように感じられた。
一通り状況に対しての把握をしたところで、僕は立ち上がって本棚を押す。
しかし、あの時は軽く体を預けただけで動いた本棚だったが、今は思いっきり押しているにも関わらず、びくともしなかった。
しばらく試行錯誤みたものの、全く動かなかったため諦めることにして、下山するために荷物を拾おうと建物を出ようとした――。
「痛っ!」
胸のあたりから痛みが走る。
それは服と乳首が擦れたことによる痛みだった。
僕は、悪いと思いながらも先ほど見つけた女性用の下着を拝借し、慣れない手つきながらも身に着ける。
おそらく正しい付け方ではないのだと思うが、今のところは一時しのぎでも痛みが出なければ良いと思い、そのまま服を着なおした。
そして僕は、あまり人に見られないように注意しながら、なんとか家にたどり着いた。
玄関を開けると帰りが遅いことを心配していたのだろう。
すでに帰ってきていた叔父は、玄関で出迎えようと部屋から飛び出してきて、変わり果てた姿の僕とご対面することとなった。
最初は僕であることも疑われた。
しかし、他の人から見たら言い訳にしか聞こえないような説明だったが、それを聞いて納得してくれたようだ。
「とりあえず、疲れただろう。まずはシャワーでも浴びて、今日は早く寝なさい」
叔父に言われて、僕はそそくさとシャワーを浴びて、その日は疲労もあってすぐに寝てしまった。
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