第26話 ラナンの村へ

 タイミング良く、ジェイミが応接間へと入ってくる。

「ねぇ、まだ? 玉座に座って待ってみたりしたけど全然来ないから。早くラナンの村長さんとこに行きたいんだけど」

 ジェイミ、玉座に座ったんだ……。


「よ、ジェイミ。虎丸もつれてってくれよ?」

 と、マルクス様。玉座に座ったこと全く気にしてないんだけど……。


「分かってる、どうせそうだろうと思ってもうパーティに入れてある」

「さっすがー」

 ジェイミとマルクス様も仲良さそうだ。虎丸さんは「かたじけない」と会釈をしていた。


「じゃぁそういうことで、ラナン村長の話を聞いて、ひとまずその集団の様子を見てきてくれ。頼んだぞ~」

 そう言うマルクス様に見送られ、私たち4人は王都ライヴィリアを出発した。


⸺⸺ブライリアント大平原⸺⸺


「わぁ~、私王都の外出るの久々だぁ。こんな大きな平原が広がってたんだ」

 そう言う私に対し、ジェイミが隣に並ぶ。

「そっか、さくら王都に缶詰だったよね。たまには一緒にクエスト行ったりしよっか」


「あはは、王都は王都で楽しいから良いんだけどね、そうだねたまには行きたいなぁ」

「その時は僕が連れていってあげるからね?」

 なぜかそう釘を刺してくるジェイミ。

「う、うん……ありがとう」


 私は引き気味にそう返事をして、前を歩くレオンの方を見る。

 彼は何も反応することなく、スタスタと歩いていた。

 なんか……レオンとジェイミが一緒の時、こういう困るやり取りが多いんだけど気のせいかなぁ?


⸺⸺ロカの森⸺⸺


 森に入ると、平原では少なかった魔物がポツポツ現れる。

 レオンが大剣で氷を操るのに対し、ジェイミは武器を持ってないなって思ったらゴツゴツした物がついているグローブを両手にはめていた。

 そして、魔物へと殴りかかる。


⸺⸺火炎拳⸺⸺


 ボーッ! とジェイミのグローブが火を吹いて、魔物は火だるまになり、吹き飛ばされて消えていく。


「ジェイミは拳で火を操るんだ!」

 私はそう興奮して言いながら、ジェイミの中に赤く燃え盛るような物が渦巻いているのを感じた。


「そ、僕は武闘家だから。ちなみに炎属性ってことだよ」

「そっか、なるほど……」

 ジェイミの中の赤いものは炎の魔力ってことだ。そう言えばレオンには青色のものが見える。氷属性ってことか。


 私は光ってる感じだから光属性。前にみんなに光だって言われたから間違いないと思う。

 じゃぁ虎丸さんは……緑色だ。何属性だろう。武器は双剣のようだ。


⸺⸺双風刃⸺⸺


 虎丸さんが双剣を振り下ろすと、2枚の真空波が勢い良く魔物へと飛んでいき、十字に斬り刻んでいた。

 風だ。虎丸さんは風属性だ。わぁぁ面白いなぁ。みんな強くてカッコイイし。3人のイケメンに守られながら進むお姫様の気分だ。

 頼りになる護衛のおかげで魔物を見ても全く怖くなくなった私は、ルンルンで森を抜けてラナンの村へと到着した。


 そこには、明らかに日本人っぽい見た目の人もたくさんいて、私は思わず口をあんぐりと開けた。


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