Count 6 See you in the next world.
始業式の日のことが広まり、オレは巫子芝のお目付役に決定したらしい。
担任の犬飼先生いわく、これまで【三なし】と言われた問題児の首に鈴をつけた人間は初めてだという。察して余りあるが、裏で人身御供とか生贄とか呼んでいるのはどうなんだ? 小さな不幸対象者リストに加えておくからな!
「ほんっっっっとうに感謝してるから! これまで何台うちの自転車を壊されたか」
雉田輪店の
「ああ見えてあの子、一途ないい子だから。一生添い遂げてあげて」
猿川マヤには巫子芝とおそろいの
「
迷惑をかけられたクラスメイトがその度にオレに
それからも巫子芝はランニング中にすれ違いざま手を振ったり、涼みに来たとか口実にして化学室に遊びに来るようになった。
ぼっちのオレには何気にうれしかったし、次第に巫子芝を意識するようになっていった。
……それでも心の奥底に眠る怨みつらみの残滓は、簡単にオレを解放してはくれない。
オレを好きになってくれる人なんているわけがないだろ? 父親ですら、オレを道具としか見ていなくて、あまつさえ最期は捨てられたのに。母親ですら、多忙を理由にオレの隣に立ってはくれないのに。
……だがしかし、そんなひねくれたオレの心などまるで関係ないと言わんばかりに、巫子芝は平気でオレに声をかけてくる。
彼女を信じたい。信じてもいいのか? 試すような事はしたくない。彼女の笑顔を疑いたくない。後悔はしたくない。なら……信じればいい。
だがあの日、オレはそれがただの
1学期の終わり。巫子芝が出ている空手の大会に様子を見に行った。そこで見てしまった、彼女の隣に立つ長身の貴公子然とした男。
男と親しげな巫子芝のはにかんだ笑い。いい加減に気づけといわんばかりのその状況に、オレは彼女と顔を会わせる事もなく会場に背を向けたのだった。
じゃあな、巫子芝。また学校で、……いや、この場合はこうだな。
See you in the next world.
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