あんまり記憶がありませんわ!

「打ったー!!マーチンの強烈な打球!!ロサンゼルスファン総立ち!!サヨナラ満塁ホームランになりましたー!!7ー4!!ワールドシリーズ第3戦は、ロサンゼルスが取りました!!」



うちの4番手となったトンプソンの2球目。真ん中低めの変化球をジャストミート。打球は左中間スタンド中段に突き刺さるホームランとなった。



敗戦。



先発のピーターソンが5回2失点と粘り、そこまでは上手くゲームを運べていたが、向こうの4番マーチンに同点ホームランを打ち込まれると、最後は大お釣りのサヨナラ満塁ホームラン。



同点9回でノーアウト満塁になってしまいましたから、覚悟は出来ていたと、ほんの少しの強がりはしておこうという試合だったのだが。







第4戦。



「試合は9回裏です。シャーロットは8ー5とリードしまして、マウンド上にはキースランドが上がりました。安定感抜群ピッチングでシャーロットの屋形骨を支えました。バッターは8番セカンドパーカーからです。


打ちました!いい当たり、レフト前!先頭バッターが出ます!ノーアウトランナー1塁。尚、この回からサードにミスケリ、レフトにはマクドナルドが入っています」




正直、3点差あるから、ベンチに下げられてもニコニコしてましたわねえ。そう言えばベンチから試合を見るのはオープン戦以来でしたわぁ。





9番キャッチャーのところで代打起用された選手は打ち取ったものの、捉えられた当たり。セカンドライナーだった。



そして1番に返ってウォーディンには同じような打球を飛ばされ、今度はザム君も届かなかった。



1アウト1、3塁で2番ムーアは三振に仕留めるも、3番アルサンディにはフォアボールを与えてしまった。



2アウト満塁となり、昨日のヒーロー4番マーチンが右バッターボックスに入る。



1発出ればまたサヨナラという場面になり、スタジアムのボルテージは最高潮に上がっていた。



そんな中の初球。アウトコース低め。コースも高さもギリギリの素晴らしいボールを上回る素晴らしいスイングで打球を放った。



力強く振り切り、打球がライトに上がる。



クリスタンテが下がっていき、フェンスに体がぶつかったところで諦めるしかなかった。



打球はライトスタンドの前列にライナーで飛び込むホームラン。ブルーのユニフォームの選手達が興奮しながらベンチを飛び出してもみくちゃ。



ヘルメットをぶん投げた選手がホームインすると、30人40人が群がるようにして、喜びを爆発させた。



俺はベンチに腰を下ろしたままスコアボードを見上げるだけ。しばらくその場から動くことは出来なかった。




「2勝2敗で迎えたワールドシリーズ第5戦をお送りしております解説席には、かつてロサンゼルスで活躍されました、京極さんです。よろしくお願いします。ここまでの両チームの戦いぶりはいかがでしょうか」



「両チームのいいところが飛び出すエキサイティングな試合。非常に盛り上がっているシリーズですよね。4試合全てがサヨナラゲームですから、かなりすごいことになっていると思います」



「おっしゃる通りですね。第1戦はシャーロットのブラッドリーのサヨナラアーチ。第2戦は新井が粘った末にアダムスのワイルドピッチを誘いました。


代わってロスでの第3戦はマーチンのサヨナラ満塁ホームランに、昨日はまたもやマーチンがお釣なしの逆転サヨナラ満塁ホームラン。確かにすごいことになっています。試合は5回まで終了しまして……シャーロットは初回にバーンズのタイムリー、2回はロングフォレストの犠牲フライ。


ロサンゼルスは、3回にマーチン、ガルシアの連続タイムリーで2ー2となりまして、試合は6回に入って参ります。


2番手ニケルス、サウスポーがマウンドに上がりまして、シャーロットは9番のザムからという打順です。このバッターが出れば足を使った攻撃、上位にいい形で繋げるか。打ちました。右中間に上がっている!」




1ー1からの3球目。真ん中の速いボールを打ち返すと、打球は右中間へ高く上がった。


若干浅めに守っていたセンターのウォーディンとライトのガルシアが下がっていく。


そしてフェンス際に達したところで足を緩めた。



「入りましたー!見事な1発、ラストバッター、ザムにポストシーズン1号が飛び出しました!代わった左腕から深い右中間スタンドへ持っていきました!」



「すごい、ナイスバッティング。シーズン2桁ホームランを放った実力を見せてくれました!」



ザム君がめっちゃ嬉しそうにして戻って来て、打席に向かう平柳とハイタッチ。俺のところにも来た。



「トキ、見てたかい!?今日は俺の日だよ!」



「ははっ、そうかもな!ナイバッティン!」



でも、調子に乗るなよと言いたかったけど、せっかくいいバッティングしたんだからわざわざそうするのも野暮かと止めておいた。



その後、平柳君と俺とバーンズがあっさり凡退してしまったのを見るに、代わったピッチャーが悪かったわけではなそうだった。


それだけに代わりバナで放ったザム君のホームランは本当に大きかった。3連敗はヤバいからね。


6回からうちも継投に入り、ローソン、トンプソン、イェーガーと繋いで、試合は3ー2というスコアのまま最終回裏。キースランドがマウンドに上がった。



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