深夜ラジオ

たらこ飴

第1話

 「メンソーレ。深夜ラジオの時間がやってまいりました。MCの海苔田弁子です。ちなみに、何故改名しなかったのか、という質問は、NGでお願いします」



「こんばんは!MCの山田太郎です!芸名ではありません、本名です!趣味は園芸と、プラネタリウムを見て癒されることですね!宜しくお願いします!」



海苔田「山田さんは、プラネタリウムを自室で飼っているという噂ですが、本当ですか?」



山田「(飼っている?買っているの間違いかな?)そうなんですよ!最近流行っているみたいで、便乗してみたんですが、暗いところで見ると凄く綺麗でよかったですよ。オススメです」



海苔田「(プラネタリウムといういきものは、暗いところで見ると綺麗と。クリオネ的なものかしらね。メモメモ)へえ。わたしもいつかは手を出してみたいですね。それで最終的には蒸し焼きにして酒の肴に、という方向に持っていけたら、めでたしめでたしですね。はい、それでは、最初のコーナーいきますかね。のりちゃんやまちゃんの、結構きわどい人生相談!!パチパチ」



山田「??? 蒸し焼き? パチパチ」



海苔田「はじめに、ペンネーム、ゴリラ隊長さんから。わたしは一人暮らしなのですが料理が面倒で、毎回コンビニ弁当で済ませる癖が付いています。手軽に栄養をとる方法があれば教えてください」



山田「ふむふむ。なるほど。手軽に栄養を取りたいのなら、サプリメントとかはどうですか?今は、安価でいいものがドラッグストアにたくさん……」



海苔田「あかん」



山田「え?!でも海苔田さん、ビタミンとかブルーベリーとかのサプリの容器たくさん持ち歩いてますよね」



海苔田「浅はかな問いですね。あの容器にはサプリメントなんて入っていません。何事も外見だけで判断すると本質を見失いますよ、山田さん」



山田「え、じゃあ中には一体何が?」




海苔田「野菜の種です」




山田「えええええええ。一体なんのために、野菜の種を持ち歩いているのですか?」




海苔田「山田さん、このスタジオの前に、この間変わったものが生えてなかったかしら?」




山田「あ、ああ。スタジオの入り口のすぐ近くですね。ネギが生えていました。誰かが収穫したみたいですが」



海苔田「それ、それよそれ。わたしはね、野菜の生命力の限界について研究してるの。つうか誰だよ勝手に収穫したやつツラ貸せや」



山田「(やべえ俺だ。まさか昨日の夜キムチ鍋の具にしたなんていえねえ。ダラダダラダラ)それで、ネギを道に植えているんですか??」



海苔田「ええ。ネギだけではなく、ナスやキュウリの種なんかも、線路の上や高架下、病院の屋上、音響の熊川さんの靴の中なんかに蒔いてみたわ。それで芽がでれば、野菜にはかなりの生命力が宿っているという証拠になるわ」



山田「なんかすごいことしてる。でも、さすがに靴の中は……。なんか、湿気でダメになりそうですよね」



海苔田「人はあえて過酷な環境に身を置くことで、強くなることもあります。それと同じように、社内で一番不潔と言われている熊川さんの靴の中なら、野菜の生存本能が働き、早く芽生えなければ、生きなければという思いが生まれるのではないか、と思うのです」




山田「さりげなくディスってますが、海苔田さん、これ、オンエアされてますからね今。ところで、その論文に、信憑性はあるんですか?」




海苔田「もちろんあります。STAP細胞は、あります!」フンスッ




山田「(それ言いたかっただけじゃねえか)脱線してしまいましたね。それでは、手軽に栄養をとる方法。そうですね。海苔田さんの栽培した野菜を食べてみるのが一番ではないでしょうか?道路野菜、なかなか、美味しいですよ。仕事の後、ワークワークしながら食べると、一段と美味しいですよ。なんつって」ドヤァ




海苔田「おめえかネギ取ったやつ」




山田「ダラダラダラダラダラダラ」




                 おわり

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