ドジっ子?

 俺達は教室に行き、授業が始まるのを待った。

 相変わらず俺達が入ると注目されるのは何故だろうな。

 理由は分かっているのだが。

 空は可愛いランキング上位、嵐と井口はカッコいいランキング上位だからな。

 俺も上位のランキングには入っている。

 

 ランキングを作るのを廃止にしようと思ったのだが、やだと言って聞かなかったので公に晒さないのなら、という条件にしたのだ。

 だから空達は、自分がみんなからそういう認識をされているのを知らない。

 俺が知っているのは、まあ秘密?というか察してくれ。弥生さんだから。


 あの人重要なのも俺に話してくるから、大変なんだよな。

 俺は風紀委員じゃないってのに。

 信頼してくれてるのは嬉しいけれどな。

 それに、情報は多く持っておいた方がいざという時に有利だし。

 生徒の弱みとかはあまり知りたくないのだが。それも知っておくと有利ではある。

 使うことはない方がいいけれどな。


 そんなことを考えつつ待っていると、先生が入ってきた。


「おはようございまーす⁈」


 先生は教室の僅かな段差に躓いてこけそうになった。

 バランスを立て直してこけはしなかった。

 

「危なかった……さて、授業始めていくよ」


先生はそう言って教科書を開き、チョークを持った。

 そして授業が始まった。

 授業はテンポが良くて分かりやすい。

 科学はあまり好きではないが、しっかり頭に入ってくる。

 それが先生の授業である。


 面白いと言われる理由は、これだけでは分かりづらいかもしれない。

 先生の面白さは、授業の時より普段の時の方が出ているからな。


 イケメンで、白衣を着ていて人当たりがいい。一見欠点のないように見えるそんな人。

 遠野雷とおのらい先生。

 先生には、欠点がある。

 教室に入ってくる時の様子で少し分かったかもしれないが、遠野先生はドジなのだ。それも極度の。

 本人は気をつけて歩いているつもりなのだろうけれど、よく躓いているのを見かける。

 そして、もう一つは怒りっぽいところだ。

 

 普段は怒らないのだが、ある人と話をしている時にはよく起こっている。

 そのある人というのは、千枝先生である。

 千枝先生とは小さい時からよく一緒にいて、比べられることも多かったそうだ。

 その度に勝負を挑んで、遠野先生が負けていたらしい。

 俺と空とは違う幼馴染の形というものなのかもしれないな。


 遠野先生には生徒会の副顧問としても世話になっている。

 千枝先生とよく口喧嘩をしているのを見かけるのだけれど、俺はそれを見ながら妄想を楽しませてもらっている。

 色々とお世話になっているのだ。


 だから、ドジが過ぎて怪我することのないように見守っていきたいとは思っている。

 遠野先生が自分のドジ加減に気づいてくれれば一番いいのだが。

 

 ちなみに、こけると泣くことがあるので飴を持っておくのが効果的である。

 先生たまに駄々をこねることがあるから、そんな時も飴を持っておくといいのだ。

 子供扱いはいけないとは思うのだが、事実なのでな。


 こんなことを考えていたら、いつの間にか授業が終わっていた。

 話を聞いていなかった。

 まあ、予習もしていたしなんとかなるだろう。分からなかったらまた聞きに行けばいいし。


 遠野先生は出ていく時にまた躓いていた。

 そろそろ躓かないようになった方がいいと思うのだが、次に入ってくる時にまた同じことをしそうな予感がしている。

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