番外編 愛してるゲーム
☆3000ありがとうございます!
〜〜〜〜〜〜〜〜
「シャーロット、最近世間で流行りのゲームがあるんだけどやらない?」
「流行りのゲーム、ですか?」
今日街を歩いているときに噂を聞いたのだ。
なんでもカップルの間で流行ってるとかなんとか……
それならシャーロットと一緒にやりたい!って思って詳しく聞いてきたのだ。
「どう?一緒にやらない?」
「それは構いませんけど……どんなゲームなんですか?」
「その名も……『愛してるゲーム』!」
「愛してるゲーム?」
「そう!ルールは簡単で愛してるって交互に言い合って照れたほうが負けなんだって」
なんとも楽しそうでカップル向けの遊びじゃないか。
ちなみにリソースは8歳くらいの広場で遊んでいた子どもたち。
それで噂と言えるのかと思うかもしれないけど僕はシャーロットと楽しく遊べれば流行ってようといなくてもなんでもいいのだ。
「面白そうですね。いいですよ。絶対に勝ちますから」
シャーロットもやる気満々といった様子で自分の胸の前で小さくグッと拳を握っている。
まぁ僕も負けるつもりはないけども。
「どっちが先攻にしようか」
「アランくんからでいいですよ。それくらいでは私の勝利は揺るぎませんから」
なんかすごい自信だな……
どこからその自信が湧いてくるのだろうか。
まあ勝てばいいだけの話だ。
「じゃあお言葉に甘えて僕から。シャーロット、愛してるよ」
「ふふ、ありがとうございます」
あ、あれ……?
なんか全然動じてないぞ……?
シャーロットの表情は赤くなるでもなくただニコニコと嬉しそうに笑っているだけだ。
これは照れていると言わず攻守交代だ。
「それでは次は私ですね。愛してます……アランくん……」
シャーロットは少し目をうるませて言ってくる。
すぐにでも目をそらしたくなってしまうのをなんとかこらえる。
気を抜いたらすぐにでも口角が上がってしましそうなくらい効いている。
これが……愛してるゲームか……
「あら、残念です。1回目では足りませんでしたか」
「それじゃあ次は僕の番だね」
さっきの様子を見るにただ愛してると言っただけではシャーロットには通用しない。
これはただのゲームではなく戦略ゲームなのだ。
だって僕はどうしてもシャーロットの照れ顔が見たい!
そんなわけで何かしらの手を打つ必要がある。
「シャーロット……大好きだよ……」
というわけでシャーロットの弱点の一つである耳元で囁いてみる。
耳がかなり敏感なようでいつもならビクッとしたりするものだが……
「ふふっ」
さっきと変わらずニコニコと笑顔を浮かべるだけである。
ど、どういうこと……?
全然効いてない……
「それでは次は私の番ですね。仕返ししちゃいます……」
そう言ってシャーロットは僕に抱きついてくる。
そして口を耳元に近づけてきた。
ま、まさか……
「アランくん……だいすき……」
そっと囁かれた言葉は僕の頭を甘く痺れさせた。
さっと僕の顔が熱を帯びる。
そんな僕の表情を見たシャーロットはニコッと微笑む。
「ふふ……そんなに顔を赤くしちゃってすごく可愛いです……」
「うっ……」
もはやシャーロットが小悪魔にしか見えなかった。
とはいえぐうの音も出ないほどの完敗。
シャーロットの照れ顔を拝む予定だったのにまさか2ターンで速攻負けるなんて……
「ふふ、愛してるゲームって素晴らしいものですね。毎日でもやりたいくらいです」
「く、くそ……」
こんなにもシャーロットが強いならやりたくないと子供っぽいことを考えているとあることに気づく。
不自然に魔力が動きシャーロットの周りを回っているのだ。
この動き方は……まさか……
「ねぇシャーロット」
「なんですか?もしかしてもう一回やりたいとか……」
「ズルしてない?」
笑顔だったシャーロットの顔がピシッと固まる。
そして目を泳がせ始めた。
「し、してませんよ?そんなこと……」
「怪しい……」
「い、いやですね……私がズルをしたなんてどこにそんな証拠が……」
僕は言い訳をするシャーロットの肩に手を置き魔力回路を接続する。
するとシャーロットの魔力が普段より僅かだか速く回っているのがわかる。
僕は自分の魔力を流し込み速度を通常時まで減速させた。
「ひゃうっ!?」
「ほら、やっぱり魔法を使ってた」
どうやら使っていたのは精神防御系の魔法のようだ。
通りで全然動揺しないわけだ。
こんなの使われてたら勝てるわけ無いじゃないか。
「ズル、してたよね?」
「あぅ……はい……」
「どうしてこんなことしたの?」
「そ、それは……いつもアランくんにやられてばかりで私もアランくんが恥ずかしがってるところを見たかったんです……」
そう言ってシャーロットは指をもじもじさせる。
どうやら僕が普段ちょーっとだけいぢめすぎてしまって仕返しを兼ねてやったらしい。
結局見破られてるところも可愛らしいけど。
「まさか無詠唱が使えるなんて油断したよ……悪い子にはお仕置きをしなくちゃね?」
「へ……?や、やめてください!い、今は……」
「今はどうしたの……?」
「ひゃうっ!」
耳元で囁くとビクッとシャーロットの体が跳ねる。
やっぱり耳めちゃくちゃ弱いじゃん……
でもお仕置きなので体をがっちり抱きしめて動けないようにして口元で囁き続ける。
「逃げちゃだめでしょ……?お仕置きなんだから……」
「で、でもぉ……」
「シャーロット、大好きだよ……」
「……!?」
シャーロットの顔が一瞬で赤く染まるのを見逃さなかった。
でも気づかないふりをしてそのまま続ける。
「優しいところも……料理上手なところも……ちょっと嫉妬深いところも……全部全部可愛くて大好きだ……」
「〜〜〜〜っ!!」
そこまで言い切ってシャーロットの顔を覗き込む。
シャーロットの顔は蕩けきっていて目も潤んでいた。
「僕の勝ち……かな?」
「うぅ……ひどいです……」
「嫌だった?」
「嫌じゃ……ないですけど……」
それから頻繁に僕が誘いそのたびに愛してるゲームが行われることになった。
もちろん僕の全勝である。
シャーロットは懲りずにたまに魔法を使うけど一回でも耐えられたらとりあえず調べてズルが見つかりお仕置き、というのがもはや流れになりつつあった……
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今回は砂乃が考えた感謝SSを投稿!
☆を3000個も本当にありがとうございます!
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