第18挑☆炎の使い手! 挑vs赤鬼 後
ダダダダダダダダダダダダダダダダダッ! 空から機関砲による攻撃。戦闘ヘリが一機飛来したんだ。
「うわああああああっ」
俺とカイソンは、ポワロンとモコのもとに向かって走った。赤鬼も前大統領の洋館の中に向かって走っていく。
俺は逃げながら、関根のことを思い出した。
「関根!」
関根は地面に倒れたまま、動くことができないでいる。
「チョーさん!?」
カイソンに呼び止められたが、無視だ。俺は関根に駆け寄って助けようと腕を伸ばした。そこに、容赦なく機関砲の雨が降る。
「ちぃっ!!」
あと少しというところで、俺は関根の身体を持ち上げてひきずった。
「ちくしょうっ」
俺は反転してカイソンたちのいるほうに向かって走り出す。機関砲は絶えず俺と関根を仕留めようと降りかかってくる。
「チョーさん!」
なんとか関根ごと別荘の敷地から出たところで、ヘリの攻撃はやんだ。
ヘリが別荘の庭に着陸し、武装した人間たちが4人降りて来た。あの黒い服、ここに来るときにすれ違った武装した奴と同じだ。あいつら、大統領の差し金か。
「チョーさん、なんで関根を助けたんすか」
「戦ったら友達だって、ヒーローが言ってたからよ。それより、あいつら俺たちを殺そうとしやがって、マジで許さねえ」
俺は関根を門の前におろして、ヘリから降りた奴らめがけて走り出した。サブマシンガンなんか持ってるが、関係ねえ!
「チョーさん、漫画の読みすぎっす!」
カイソンがあとからついてくる。
「なんだ!?」
武装している4人が一斉に俺のほうを見る。サブマシンガンで俺の足元めがけて撃ってくる。
だがな、下手が有能な武器持ったって、当たらねえんだよ!
俺はジグザグに走りながら距離を詰め、まず、一人目の顔面をぶん殴る。二人目は至近距離でサブマシンガンを撃つことをあきらめ、ナイフを取り出した。
だが遅ぇ。さっきの関根や赤鬼の攻撃を見たあとだとよ、あくびが出るほど遅ぇんだわ。
俺は二人目がナイフを突き出すのと同時、ナイフをかわしながら左の拳を突き出す。二人目の顔面も潰れて地面に転がった。
三人目には蹴りをくれてやったとき、カイソンが、
「じゃーん」
と、嬉しそうな声をあげた。カイソンの手にはナイフ。
サブマシンガンを拾うわけじゃなく、使い慣れてるほうの武器を選ぶところがカイソンらしいわ。
カイソンは残りの一人を袈裟に切った。これは死んだな。
「カイソン、お前容赦ねえな」
「だってゲーム世界っすよ。それに、俺たちを先に殺そうとしてきたのはこいつらですし」
「……あのー、二人とも」
ポワロンが俺たちの間に割って入った。
「なんだ?」
「ここに来た目的って、なんだっけ?」
「そりゃあ、藤花を助けるためだろ」
「藤花は大統領の娘よ?」
「そうっすね」
「今、チョーとカイソンが倒したのは?」
「大統領の手下ども……あ」
俺も血の気が引いたが、カイソンも顔色が青くなってる。
今、俺たちが倒した奴らって、藤花を助けに来た奴らじゃん?
「やっべ! やっちまったぞ!」
「やっちまいましたねっ、俺なんか、さくっと斬っちゃいましたっ」
「間違えてやっちまったわ! って言えばなんとかなるか?」
「藤花ちゃんを救出すれば、全部チャラになるんじゃないっすか?」
「そうだな。よし、洋館の中に入って藤花を捜そう」
「はいっ」
ポワロンが困ったような呆れたような表情をしているが、無視だ。
俺たちが洋館の入り口に向かって歩き出そうとした、そのとき。
「おい、待て……」
振り向くと、関根がふらふらしながら立っていた。
「なんだよ、もう勝負はついただろ」
「藤花は、返せない……大統領が、こちらの要求を実行するまで」
関根はとくにかまえていない。もう一度バトルする意思はないように見える。
大統領への要求を聞いたときもそうだが、今も、関根と赤鬼が悪人って感じはしねえんだよな。
「なあ、なんで藤花をさらったのか、もうちょっと詳しく聞かせてくれねえか?」
俺が言うと、関根は少しの間のあと、
「……ついてこい」
と言って、俺たちの前を歩き出した。どうやら、洋館の中を案内してくれるようだ。
俺たちは、関根に続いて洋館の中に入った。
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