他から見れば同じこと

 兄が奥さんを亡くして帰ってきた日から、廊下にクレヨンの落書きがあったりドタドタと騒がしい足音がしたりするようになり、挙句には夜中窓の外から数人の砂利を踏む音が聞こえたりして、兄に聞こうにも昔の陽気さは身を潜めて引きこもってしまい、覗き見ると何かに怯える様子で、果たして兄が何をしでかしたのか疑問が湧くと同時に、最近俺の耳元で女の囁く声が聞こえるようになったのは俺と兄が瓜二つであることに関係がないことを祈っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る