おかえり

 昔から最寄りのバス停まで迎えに来てくれていた兄が俺を迎えを断った日に事故で亡くなって、やっと墓に収めたのでひと段落ついたと思った気の重い帰り道、窓枠の降車ボタンを押そうと向けた視線の隅にバス停に立つ兄の姿が見えて、懐かしさとともに湧き出た得体の知れない存在に対する恐怖感からボタンに添えたままになっている指が震えている。

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