弟子が英雄になって調子に乗っているので、痛い目に合わせます。

@y-10

プロローグ

英雄。それは非常に優れた実力を持ち、非凡なことを成し遂げた者だけが得られる称号である。分かりやすく言えばめちゃくちゃ凄い人である。


その称号を最近得たものがいる。


ションコンディ・シュラット


この世界では人族と魔族が存在しており、そのほとんどは魔族が支配していた。そして人族が受けた数多くの拷問。殺し。本当に人族は辛い目に遭ってきた。しかし、それは彼によって終わらせられた。

彼の手によって、魔族の王を討ち取ったのである。


しかし、彼は非常に調子に乗っていた。


度重なる女遊び。ギャンブル。あらゆることに手を染めていた。そう、彼は英雄になったことによって、調子に乗りすぎ、クズになってしまったのである。


そんな彼に痛い目を遭わせるために1人の男が立ち上がった。


トーマス・スティジャス


彼の師匠である。


彼はとんでもなく強い。とにかく強い。強いの他ないが、その強さを知っているのはシュラットだけである。

彼は正義感がとんでもなく凄い

正義感が強すぎて、他の人が引くほどである。

だからこそスティジャスは調子に乗っているシュラットが許せなかった。

「なぜ人々を助けたのに、また人々に迷惑をかけるのだ...!」そう思い立ち上がった。


〜とあるバー〜


「シュラットくんって本当かっこいいし、強いし、結婚したいぐらいいい男だよねぇ」

「あったりまえだろ!俺様はあの英雄。ションコンディ・シュラット様だぜぇ?かっこいいに決まってるし、人族を救ったんだからな!だから人族は俺をもっと敬うべきなんだ!俺様に奴隷を寄越すべきなんだよ!」


とあるバーで飲んでいた英雄シュラットはバーのマダムにそう言われ、そう答えた。


ちなみに奴隷制度はとうの昔に撤廃されている。にも関わらず調子に乗って、そんなことをほざいている。

流石のマダムも引いてしまっている。

周りの客もどんだけ敬いたくてもあの態度じゃ腹が立って敬えなくなっている。


「あいついくら人族を救ったからってあの態度はないだろ...」

「いつかこの国の国王になって、奴隷制度を復活させるんじゃないか?そしたらやべぇぞ...」

英雄に聞こえないように、小声でヒソヒソと話している。


「とりあえず女をとりあえず片っ端から食っちまおうかな!行ってくるわ!代金は払わなくていいだろ!俺英雄だし!」

「いや、流石に代金は支払ってもらわなきゃ困るわよ...」

「あぁ?お前たかが庶民のくせに生意気だな。俺様は英雄だぞ!?とりあえず行くから。じゃあな。」

「ちょっと待った。」

「あ?なんだよ?英雄の俺様を止めようって言うの...か...!?し、師匠...!?」


シュラットが彼を師匠宣言すると、店の中が一気にザワザワした。

「え?英雄に師匠がいたのか?マジかよ...」

「師匠とは思えねぇくらい、ヒョロガリだ...」


「おう、シュラット、最近随分と調子に乗ってるみたいじゃねぇか。俺は言ったよなぁ?人様に迷惑だけはかけるなと!」

「し、師匠...!でも...俺は英雄になったんです!こんぐらいのことはしてもいいでしょ!?こんな何にも成し遂げてないやつに金を支払う意味なんて...ごふっ!」


ヒョロガリ男が英雄をぶん殴り、店の中は騒然とした。

「マジかよ...英雄をぶん殴って、しかも吹っ飛ばしやがった...!なんという力だ...!」


「このボケバカゴミ野郎!!俺はお前をそんな風に鍛えた覚えはないぞ!痛い目見してやる!!!」







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