あなたのねやへ招かれた時、

 それも、月が隠れた晩でしたわよね。


 あなたがわたくしに触れた時、

 あなたの指が わたくしに触れ、

 わたくしが あなたを受け止めた時、

 あなたのにおいで

 わたくしは あの晩のことを思い出したのです。


 わたくしが 最も嫌悪する におい。


 桜の樹の下に埋めた 憎悪。


 わたくしの 欠けていた記憶。

 意図的に 封印した 過去。


 それを なぜ、あなたに話したのかは、分かりません。


 でも、

 あなたにも あの桜の樹を見て欲しかったから。

 だから、

 あなたを 連れて行ったのです。












 ✿


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