第42話 結果発表 そして入学式

 あのマルクに勝ったということは非常に大きかったらしく、次々と対戦相手が棄権した。


「戦わずに優勝しちゃいましたね・・・」

「そうだな・・・」


「おめでとう! レイド君、エレーヌ!」

「兄さん・・・ もう帰ったのではなかったのですか?」

「お兄ちゃんはしばらくシャロンにいる予定なんだ。たまには様子を見に行ってやるぞ~」


「そうですか。はぁ、今日はもう疲れました・・・ 早く帰りましょう・・・」

「ああ、そろそろカインたちが来るはずなんだが・・・」


「お! いたいた、レイド!」

「噂をすればもう来たぞ。 ・・・カイン、そいつは誰だ?」


 カインの後ろにもう一人男が付いてきていた。


「ああ。紹介するぜ! こいつの名はロベルト。俺の相方だな!」

「初めまして。僕はロベルトです」


 黒髪、黒い目をした少年はそう言った。


「よろしく、ロベルト」

「ええ、実技試験、優勝おめでとう。僕たちはどうせ勝てないと考えて棄権したんだ。学園はそういうのも評価に入れてるからね」


「そういやファブリスはどうだったんだ?」

「ああ、普通に弱かったぜ。ったくよぉ、一応料理番だったのに、顔すら覚えられていなかった」

 

「あいつが使用人のことを覚えている訳がないだろ」

「確かにな! 途中でマリーのことも見てきたんだが、多分あいつらも合格しているぜ」


「無事、全員で合格することが出来そうですね。では、明日の発表を待ちましょう」

「僕が宿を取っているよ〜 そっちへ向かおう」


「ああ、それじゃあまた明日。ロベルト」

「ええ、さようなら」


 レイドたちは宿へと向かったのだった。



 〜翌朝〜



 レイドたちは再び学園に戻ってきていた。

 

「二回目の学園だな! レイド」

「さてと・・・ 掲示板はどこにあるだろうか」

「多分あっちじゃないですか? ほら、たくさん人が集まっていますよ」


「どれどれ・・・ おっ、ほんとだ」

「どうですか? 受かってますか?」


 学園の定員は百人。順位がずらりと載っている。


(どれどれ・・・?)


・シャロン王立学園 入試結果


 一位 エレーヌ・バイセン


 二位 ロベルト


 三位 レイド・フォン・ユーラル


 四位 レシティア・コレル


 ・・・・・・


 二十三位 マリー


 三十四位 マルク・フォン・シャロン


 六十位 カイン


 八十位 ファブリス・フォン・ユーラル


 ・・・何かと心配になる順位だな。


 マルクよ、王家がそんな順位でいいのか?


「ギィィィィィ・・・ なんでよ! わたくしが四位ですって!?」

「まあまあ・・・ レシティア様、落ち着いてください・・・」


「お、レシティア、マリー。受かったんだな」

「ああ、そうなのだが・・・」


「不正よ! これはきっと不正よ・・・!」

 レシティアが顔を歪ませながら嘆いている。


「レシティア」

「・・・何よ」

「俺、三位だったわ☆」


「ああああああああああああああ!!!!」

「落ち着いてください! レシティア様!」


(ふぅ~ すっきりしたぜ)

「エレーヌ。主席だな」

「はい・・・ どうやらそのようですね・・・」


 さらに、ロベルトが二位と、かなりの実力者だったらしい。


「私が新入生代表・・・ あわわ、、、想像するだけで緊張します・・・」

「おーい? エレーヌ? こっちに戻って来いよ?」


 エレーヌは心ここにあらずの状態だ。しばらくほっといておこう・・・



 そうして数日後・・・



「ようやく入学式の日だぜ! 楽しみだな!」

「ああ、クラスとかはどうなるのだろうか?」

 レイドたちは今、入学式の会場に来ている。


「はぁ・・・」

「どうした? エレーヌ。新入生代表だろ?」


「それが・・・」


「静粛にっ!」

 エレーヌが何かを言いかけた途端。そのような声が聞こえた。


「今からシャロン王立学園、入学式を始める!」


 そういうわけで、入学式が始まった。滞りなく進行していく。


「それでは、新入生代表前へでよ!」

 エレーヌは動かない・・・ どうしたのだろうか?


「はい!」

 別のところから返事が聞こえる。


(あれは・・・ マルク!)


「あの人に奪われてしまいました・・・」

 エレーヌがそう小声で伝えてきた。


「何? あいつ・・・ 王族特権で何かしやがったな・・・!」 


「・・・以上、我々新入生は、これから二年間真剣に勉学に取り組むことを誓います!」


 マルクは我が物顔で話し終えた。

(一生に一度しかない機会をかっさらいやがった! 絶対に許さない・・・!)


「ちぇっ、あいつ・・・ 良い気どりしやがって・・・ 結果悪かったくせに・・・」

「・・・カイン、すまないがお前よりかは良かったぞ?」


「そこは黙っていてくれよ・・・」

 いったんこのことは棚に上げて、今は入学式に集中しよう・・・


「以上、入学式を終了する! 新入生、礼!」


「それでは、この後はクラス決め、教員紹介があるので心待ちにしておくように!」


(クラス決めか・・・ エレーヌと同じクラスがいいな・・・)


 入学式から不測の事態が起こるレイドたち。

 果たして、レイドの学園生活はどうなるのだろうか!?



 ~あとがき~


 ここまで読んでくれてありがとうございます!


「面白かった!」


「続きが気になる!」


 と思った方は、是非、☆☆☆ や ♥ で応援よろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る