イマジナリーライン

あずま

プロローグ

プロローグ


あなたという地獄に堕ちたおかげで、特別な人間になれた。建前ではなく、心の底からそう思う。

その人は、地獄の色をしていた。地獄は平穏だったはずの人生を壊した。順風満帆が確約されていた日常をその色で彩り、親がつけた名前を染め上げ、感情や価値観のすべてを形成した。だがそんな地獄をもたらしてくれたことには、正直感謝しかない。約束されていたはずの日常を壊したのが、お前の柔らかく無垢で残酷な手であったことを、俺は生涯誇りに思う。

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