薔薇の棺に眠る者は

長谷川 千秋

第1話 贖罪

はじめに断っておくが、彼女は死んでいない。

新しい場所で元気にやっているはずだ。

もう会うこともないだろう。


たまに思い出したかのように連絡をしてみたり、向こうからくれたりもするけれど、

「また会えたらいいね」なんて文句はただの挨拶で本気で会うつもりなどないことをお互いによくわかっている。


そんなやりとりすら途絶えたら本当に最後だと思うとやはり寂しい。


もし彼女にまた会えるなら、聞きたいことが沢山ある。

私が見落とした過ちを全て矯して積み上げれば、違う未来があったのか。

出会わなければ、癒えない傷も灼けるような胸のときめきも知らずに済んだのに。

だがどれだけ願っても時は戻らないし、起こった出来事をなかったことにはできない。

これは私の罪だ。背負って生きる責任が、ある。


だけどきっと私は、私達は_____

たとえやり直せるとしてもまた巡り会い、

甘く愚かしい過ちを重ねていく。

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