第7話 転生したらラスボスだったけど、意外な事実が発覚した
バックに必要な書類と例の本を入れて、いざ学園へ...とその前に一つ、ユーリにしばらく平日は会えなくなることを伝えに行く。
別に待ち合わせをしていたわけでもないので、ユーリの家まであしを運ぶ。何回か遊びに行ったことはあったので、別に迷う事はなかった。
コンコンコン。
ユーリの家の扉を叩く。この世界でもノックは3回で良いと、礼法で習った。やっぱ勉強て大切だな。
「はーい」
家の中から返事が聞こえる。建築に詳しい訳ではないので正確にはわからないが、白いレンガでできた家の窓に使われている歪んだ硝子に、朝の日差しが照りつけ乱反射し(全ての物体は乱反射します。あくまで比喩です)、その白亜の塔がそれをさらに跳ねかえして輝いているように見えるのは、建築家の技術か、はたまた偶然の産物か、どちらにせよ美しい。
ガチャ
そうこうしているうちに扉が開く。出てきたのはユーリだ。
「リアム君おはよー!けどゴメン、今は学園に行くために支度してるから、今は遊べないや」
???
「え?学園?」
「うん、学園」
???
「ユーリはまだそんな歳じゃないでしょ?」
「うん、でもね、なんか3年早く受かっちゃた」
「…何処の学園かな?」
ちなみに、ぼくの通う予定の学園はユースティテア地方の隣のトラピラト地方のトラピラト学園だ。
「ん?トラピラト学園だよ」
「え?僕も今日から通うんだけど…」
現実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。なぜ前世の知識などがない彼がちょうど3年分早く合格しているのか。
「じゃあ、リアム君とお揃いだねー」
彼は嬉しそうだ…ってそりゃそうか。
「そうだね。これからもよろしくね」
全く知らない場所に一人放り出されるよりは知り合いがいた方が心強いもんな。
斯くして、僕はユーリにしばらく平日は会えなくなることを伝えに行くどころか、平日の方がより会える事を伝えて、学園へ向かうのであった。
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