魔法、魔法って、あほうかよ!
高瀬さくら
第1話.黒歴史じゃないよ!
「だれにでも黒歴史はあるからねー」
そう言われたのは、新人時代の同期で久々に集まった時のこと。皆が転職し、家庭環境も変わり数十年ぶりに会った友人に言われたのだ。
――私は過去に、二次小説でサイトを持っていたことがある。二次とは簡単にいうと既存の作品で創作して物語を展開させることだ。
私が二次小説サイトを作ったのは、他の作者さんの書いた話にはまってしまったからだ。
どっぷり読み込み、自分でサイトを作り小説を書くようになった。
当時は、自分でサイト(ホームページ)を作る、というのが流行っていた。私のサイトもすぐに読者さんが増えて楽しく活動していた。
だが私は当時、サイトを作ったことが嬉しくて、漫画やアニメに興味がないその友人に報告をしていたらしい。久々の同期会で苺のパフェの写真を撮る私に彼女は
「まだそおーいうのやってるの? それに載せるんでしょ?」と言った。
サイトを作って数十年、サイト報告したことも忘れていたし、多分彼女は私のサイトを見ていないと思う。
――だが覚えているとも思っていなかった。
「え、えぇ、ああ、うん」
その時は、ツイッターやインスタグラムもまだなかった。私は自分のサイトに紐づけしている下火になりかけたブログに載せるために撮っていたのだ。
自分で作るサイトは、今でいうPV(閲覧歴)を分析してくれないので、カウンターという訪問数の表示をさせるのが通常だった。
私はサイトのトップページに張りつけ、一日の訪問者数七百人から千人(閲覧数ではなく訪問者数でユニークアクセスと同じ)、ブログは来訪者一日百人だったので、カクヨムのお化けのようなPV数には程遠いが、自分でサイトを持っていた人間にしては、そこそこ読者さんが来ていた方だと思う。
だが。
――過去の話じゃない。未だにやっている。なにより、そこそこ来てくれてるんだよ!! 現在進行形だ。
(……黒歴史じゃない!)
しかし、心の中の声だ。オタクでもない彼女に言う必要はない。
私の返事は求められず、話は流れていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます