第12話

ああ、凄惨な事故に巻き込まれてしまった。

日記と銘打っていても一応作品として公開している以上、近況ノートと棲み分けたいし、ブログみたいにはしたくない。

近況ノートは自主企画立ち上げたお知らせに更新したばかりだし、せいぜい一日一回の更新に留めておきたい。

行き場がない慟哭。明日なんて待てない。

そうだ、日記があるじゃないか。


そういうわけで、なるべく小説っぽく書きます。

牛乳配達の途中弁当を買った。500円の弁当だ。

パッと見たところ、魚のフライ、ナスの揚げ浸し、こんにゃくの煮物がレタスを敷いたメインエリアに置かれ、わらびの煮物、胡瓜の粕漬みたいなのがある。

蓋を開けてこんにゃくから口に運ぶ。好きなものは取っておく派なんだ。

さっき思いついて「思いつき文学賞」という自主企画立ち上げたから、思いつきで参考作品でも書こうか。一話執筆し終わって弁当食いに本腰を入れようとした、その時。

ビビビッ!何かが弁当に落ちた。

やや小さめサイズの甲虫。そいつがこちらに腹を向けてじたばたしている。

カメムシじゃありませんように!

強く念じながらつまみあげる。

生粋のカメムシだ。

車外へ逃して指を嗅ぐ。

ラッキー、臭くない。

魚のフライとレタスのあたりでじたばたしてた。

危険だ。

茄子だ。

たぶん茄子はセーフだ。

迷わず茄子の揚げ浸しを口に入れた。

あれ?カメムシの味がする。

いや、気のせいだ。

それにカメムシだってテントウムシの仲間じゃないか。

気のせいだ、仲間じゃないか、気のせいだ、仲間じゃないか、気のせ…うぷっ

ダメだ、茄子はダメだ。 

畜生。思いつきで企画なんか立てて、思いつきで小説なんか書いてるからだ。早く食っちまえよ。いや待て、弱気は最大の敵だ。汁物じゃなくて命拾いした。うん、ラッキーじゃないか。

レタスは諦めよう。だけど、魚は諦めがつかない。

一度食らった攻撃が、僕の精神を揺さぶる。

怖い、怖いよ。

ぱくり。

何でかわからないけど大丈夫だった。

直接当たってた筈なのに。

きっとカメムシも思いつきで弁当に飛び込んだに違いない。

やっぱり思いつきで生きてはいけないかも知れない。

そう思いました。


今はただ、マウスウォッシュを繰り返すだけ。

それしか出来ないのでした。

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