Episode12 理不尽な真相
「そんなことが……」
「それから色々あって、今に至るっていう感じかな。まあつまり、オッドアイは本当に常軌を逸したくらい忌み嫌われてるの。」
「なんで、なんだ?なんでオッドアイはそんなに」
「狂乱の悪魔だよ。」
イルは無表情にそう答えた。
「剣聖が討伐したとか言っていた?」
「そう、それのこと。あの悪魔は見境なく人を殺し暴れて、蹂躙した。遂にはルテア王国、隣国のナサリア王国という国家でさえ、完全に崩壊と半壊状態までに追い込んだ。しかもこれをあの悪魔はたった一日足らずでおこなった。」
そう言ってイルは一拍間をおいて
「その悪魔が“オッドアイ”だったんだ。」
そう何とも言えない表情で言った。
_________
「だから同族…」
「うん、そういう事。」
イルが肯定の返答をすると、暫くの沈黙が訪れる。
「でも、おかしくないか?なんで両親は最後そんなに変わっちゃったんだ?」
カナデがそう疑問を投げかけ、沈黙を破ると…
「それはきっと精神的に病んでしまったんだろうね。村の人たちからの罵詈雑言に当てられて、さ…」
イルがそう悲しそうに呟く。
「だけど、だけど身の親からあんな事言われてッ……!!…イルは、その…イルは恨んでないのか?…両親のこと」
イルのその恨み言を言うでもなく、悲しそうな表情で呟いた言葉を聞き、思わずカナデは大声でそう言ってしまう。
「何とも思ってないって言ったら、嘘になっちゃうかも知れないけど、そもそも約束を破っちゃった私が悪くもあったし」
そこでイルは俯いていた顔を上げる。
「それに、この感情を。この感情を向けるべき矛先は、お父さん、お母さんじゃないと思うの…」
「……狂乱の悪魔?」
そうカナデが尋ねると、イルは何も言わず無表情で突然スッと立ち上がり、こちらに振り向くと
「さっ、あの子を探しに行こっ!」
そう笑顔でカナデに言った。
_________
「よいしょっ、と」
村の中を見回って数分程度でカナデ達はエフィの姿を発見した。尤も、すぐ見つかったのは、この村は十数件ほどしか建物がない小さな村だからだ。
ここで、彼女は井戸から水汲みをしていた。
「手伝うぞ。」
「…カナデお兄ちゃん」
カナデがそういって、桶をエフィから受け取り水汲みを始めた。
「エフィ。俺はこの辺の産まれじゃないんだ。だから、エフィの置かれてる境遇とかそういうのは、全然予想できなかった……そして、その状況をなんとかしてやりたいと思っても、俺にそんな力も方法もない。でも……イルなら」
カナデがそこまで言って言葉を止めると、
イルが、カナデと代わるように少女の方へ歩を進めた。
そして、少女に言葉をかける。
「私と一緒に…」
イルはそう言い、一拍おく、
少女がイルの方を向き、首を傾げる中──、
「私と一緒に旅に出てみない?」
イルはそう優しげな顔で少女に手を差し伸べたのだった。
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